こんにちは、海外事業部の久野由里子です。
KnKでは例年3月中旬に総会を開催し、理事、評議員に、前年度の事業や会計について報告し、今年度事業の予算、計画の承認を得ます。新型コロナウイルス蔓延前は対面で実施していましたが、2020年以降は対面とオンラインのハイブリッドやオンラインのみで総会を実施しています。
事業活動について、各事業の担当者が15分程度で報告するのですが、3時間におよぶ総会、参加者が疲れてしまわないよう、また事業活動のすべてを報告するのは難しいので、何をメインにして報告するか、色々頭を悩ませます。
カンボジア事業では、現場の日本人派遣員が、タイ・カンボジア間で発生した紛争による影響を話したり、パレスチナ事業では、ビザの制約でパレスチナに入域できず、アンマンから遠隔で事業を進めている派遣員が、パレスチナの現地スタッフ一人一人の熱い!声を代読しつつ事業説明を行うなど、各事業、工夫をしつつ報告を行いました。
私の報告では、一般的に言われる「いい事業」とは何か、そしてその「いい事業」の定義に当てはまらない事業をどう考えたらよいのか、と、最近KnK内部で協議していることなどを理事、評議員にも共有しました。
例えば、一般的に「いい事業」というのは、「成果が見えやすい」=就学率・就職率の向上、裨益者数の多さ、収入の向上など数字がみえやすい事業、あるいは「費用対効果がよい」=総予算÷裨益者数で計算する金額が小さい事業と考えられやすいと思います。
その一方でKnKの事業全体を見渡すと、一般的な「いい事業」にあてはまらないことを大事にしている事業も多いのではないかと思います。
例えば、トラウマや傷つきからの回復の際、本人も周囲の人間も下記の図の左のように、右肩あがりで一直線に回復していくと期待しがちですが、実際は右の図のように、何かのきっかけで動揺を経験したり、様々なプロセスを経るものだと言われています。
暴力、虐待を経験した子ども、何度も人から否定されたり、拒絶された経験を持つ子どもなど、傷つき、トラウマを抱える子どもたちの回復には、時間も費用も必要だと考えます。
また、傷つきを経験した子どもたちについて、不安感が減っているか、怒りや攻撃が自分自身や他者に向かうことが減っているか、など、子どもたちの変化を見ることはもちろん大切なことだと思います。
ですが、安心できない社会状況によって傷つきを経験した子どもの変化を、我々が一方的に良し悪しを測って事業成果にすることでよいのだろうか、子どもたちの変化は周囲の人々との関係性の中で生まれてくるもので、社会や我々が子どもにどんな場を作ることができるのか、どんな関係性を築くことができるのか、ということにも目を向けなければならないのではないか、変わらなければいけないのは、私たち大人の視点や社会の方ではないか、ということも考えてみました。
子どもたちが安心して活動を楽しめたり、勉強に打ち込める場所や関係性をスタッフが子どもたちと築くことを大切にしながら、私たち「支援者」や周囲の大人、社会が変わるような働きかけも今後も大事にしていきたいと思います。

フィリピン「若者の家」のグループディスカッション

同じく「若者の家」のアートコーナー。すべてが個性豊かなアート作品







