友情のレポーター(2024)としてカンボジアを取材した浅島奈央(あさしま なお/15歳)さんより、取材レポートが届きました。
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スレイモンちゃんの家庭訪問
8月11日。午前中は、「若者の家」の近隣に住む子どもに家庭訪問と取材をしました。訪問先はスレイモンちゃんの家でした。スレイモンちゃんは、経済的に学校に通うことが難しいため、「若者の家」の支援を受けています。しかし、スレイローやソックンの様に「若者の家」では暮らしていません。彼女たちの違いは「家からの距離」です。スレイローやソックンは家から学校までとても遠いため、「若者の家」で暮らしながら学校に通っています。一方スレイモンは家から学校までは10分程度と近いため、家で暮らしながら「若者の家」の支援を受けているそうです。さっそく家に上がると、玄関に賞状がありました。「これはなんですか?」とスレイモンちゃんに聞くと、「クラス内の成績3位になった時にもらったもので、モチベーションを保つためにある」と言っていました。部屋に入ると、想像していたよりも風の通りがよくて涼しく、快適だったのを覚えています。
スレイモンちゃんに話を聞きました。「学校で、普段勉強以外で何をしているのですか?」「好きなスポーツは何ですか?」など、簡単で答えやすい質問をしていき、最後の方に「もし、なんでも1つできるのなら、何がしたいですか?」と聞くと、彼女は「お母さんを助けたい」と言っていて、私は「お母さんを助けるために将来何になりたいですか?」と聞くと、彼女は「地域の子どもたちに勉強を教える先生になりたい」と少し照れながら言っていました。
この質問に対する答えが、私にとって1番印象に残っています。私の夢と全く一緒だからです。私は小さい時から母と2人で住んでいて、母が1人で私を育ててきてくれました。だから恩返しをしたくて、大人になったら子どもたちに勉強を教えながら母を助けようと思っていました。そして私は今まで「こんな夢を持つのは私だけ」だと思っていました。学校の先生になりたいという子は沢山いますが、先生になって子どもに寄り添いながらお母さんを助けたいと言っている子は今まで会ったことがありませんでした。私はこの時、「これから先、スレイモンちゃんに再会できるかどうかはわからないけど、将来お互いに素敵な先生になって、お互いお母さんを助けられていたらいいな」と強く思いました。
このことについて、スレイモンちゃんのお母さんに「先生になってお母さんを助けたいという娘さんの話を聞いて、お母さんはどう思いましたか?」と聞くと、
スレイモンちゃんのお母さんは「私を助けてくれると聞いたのは初めてです。とてもありがたく、感謝しています。しかし、私はスレイモンが幸せであることが私の1番の願いです。」とお母さんがスレイモンちゃんに対する感謝の思いと、切実に幸せになってほしいという思いがこもった優しい表情をしていました。この時も、私は「きっと私のお母さんも同じことを言うんだろうな」と思ってより一層、お母さんのことを助けたいと思いました。私は2人の話を聞いて「お互いがそれぞれ相手のことを思うということは、何よりも素敵なことであって、2人がこうして笑顔で一緒にいられることは、もうすでに大きな幸せじゃないかな」と思いました。
最後に、スレイモンちゃんから私にいくつか質問をしてくれました。
「日本での生活はどんなものですか?」「どうやって地震に備えてるのですか?」「学校には1日何時間ぐらい行ってるのですか?」とか、私たちの日本での生活のことについて興味を持ってくれていることがとてもうれしくて、たくさんスレイモンちゃんに日本のことを話しました。取材を終えて帰ろうとしていた時に、スレイモンちゃんとお母さんが、手を合わせて「ありがとう」と笑顔で言ってくれ、私も笑顔で「ありがとう」と手を合わせて言いました。
「またいつか会って、その時にスレイモンちゃんから『お母さんを助けられて今は自分も幸せだよ』って聞きたい」―2人の顔を見て、ふとそんなことを思いました。
福笑いと絵合わせカルタで日本を紹介
午後は「若者の家」の子どもたちに日本紹介をしました。紹介したのは「福笑い」と「絵合わせカルタ」。ゲームを通じて日本の文化を知ってもらおうと思い、この二つにしました。
まず初めに「福笑い」をしました。
顔は3つ用意していました。ひょっとこ、おかめ、そして現地代表のサカンさん。同行スタッフの茜さんから「サカンさんの福笑いを作ったら面白そうじゃない?」と提案されて、私も「絶対に盛り上がりそう」と思ったので、サカンさんの福笑いは私が一から作りました。サカンさんの福笑いを指さして、みんなに「これ誰かわかる?」と聞くと、みんなすぐわかってくれました。
その後、みんなで顔のパーツを持って顔に付けていくと、みんな大笑い。面白い顔が次々に出来上がっていきました。ソーシャルワーカーさんたちも参加してくれてとても楽しそうにしていました。始めるまでは、みんな楽しんでくれるかどうか心配だったのですが、みんなの楽しそうな笑顔を見られて、「準備をがんばってよかった」と思いました。
次に「絵合わせカルタ」をしました。
ルールは簡単で2グループに分かれ私たちが出した絵と同じものを選び、どちらの方が早く見つけられるかを競います。
福笑いの時とはみんなの顔つきが少し違っていて、みんな真剣な顔をしていました。勝てばとてもうれしそうな顔をして、負ければ悔しそうな顔をしていました。そんな子どもたちの表情豊かな顔を見ていて、私も微笑ましくなりました。
その後、みんなが取り札を私たちに見せて、「これ何?」と沢山質問をしてくれました。遊びながら日本の文化に触れて、興味を持ってくれ
子どもたちの好奇心に満ち溢れる笑顔を見られてとてもうれしくなりました。
最後にみんなで「だるまさんが転んだ」をしました。子どもたちも知っている遊びだったので、とても楽しくできました。
この2つの取り組みで新しい気づきがありました。日本紹介での子どもたちの姿を見て、「全力で取り組むということは楽しさに繋がる」ということ。同じ夢を持つ同世代の子がいるということを知って視野が広がり「更に自分もその夢に向かって頑張ろうと励みになった」ということ。これらの気づきは、これから先、私が困難な場面に直面した時に背中を押してくれるものだと思います。
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「友情のレポーター」プロジェクトは、日本の皆さまからのご寄付と以下の皆さまのご協賛、ご協力と助成により実現しました。
<主催>認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛>国際ソロプチミスト東京-広尾
<協力>認定NPO法人Dialogue for People
<助成>公益財団法人三菱UFJ国際財団