報告:フィリピン事業担当 久野 由里子
KnKでは、パヤタスとバゴンシーランというフィリピンの2地域で、ノンフォーマル教育のALS(Alternative Learning System:代替教育)を実施しています。
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本日は、パヤタスでALSを受講し、見事修了試験に合格、販売店員として働き始めた卒業生について紹介します。
A: 私はクリスティーンです。パヤタスに住んでいて、SNSでの交流や、料理、家事などが趣味です。今はハードウェアを販売する販売店員として働いています。
私はサマール島出身で、2013年の台風「ハイエン」の被災者です。台風の後、パヤタスに引っ越しました。
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Q: KnKのことはどのように知りましたか?また、ALSに参加しようと思ったモチベーションは何ですか?
A: KnKのことは、家から近くて交通費がかからない学校を探していた時にSNSで知りました。
高校を修了しておらず、仕事を見つけることが難しかったため、ALSに参加することにしました。それに、自分の夢を叶えたかったし、家族の負担になりたくないとも思いました。夢を叶えるため、2023年にKnKのALSに参加し、KnKは私の目標を達成するための足掛かりになりました。私が夢を叶えるのを助けてくれる、強固な基盤のようなものです。
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Q: KnKのALS生徒としての日々はどのようなものでしたか?
A: 私は静かな生徒でした。クラスメートと交わったり、話したり、競争するようなタイプではなく、のんびりした生徒でした。私が初めてパヤタスのチルドレンセンターを訪れた日、誰も知っている人がいなかったし、パヤタスのALS教員、マリン先生のことも知りませんでした。でも、学校年度が終わるころにはみんなと仲良くなりました。みんなが私を姉妹のように尊重していると感じました。KnKにいる間、私は自信を持てるようになりましたし、クラスメートの宿題を積極的に手伝うようになりました。徐々に活発な生徒になり、クラスメートが私をALSクラスの会長に選んでくれました。
マリン先生も、関係が作りやすく、私たちの第二の保護者のようでした。
私の家庭は居心地がよい家庭ではなく、マリン先生は母のように私たちをケアし、思いやりと愛情をもって接してくださいました。それが、私たちを毎日授業に参加する後押しになりました。

マリン先生(左)とクリスティーン
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Q: ALS以外にもKnKの活動に参加しましたか?
A: 他の団体が運営した活動も含めて、KnKの活動はほとんど参加しました。当時は欠席した活動はありません。役立つスキルや社会課題に対しての知識を学ぶことができたので、伝統的な学校のカリキュラムにはないようなセミナーやワークショップに参加するのは楽しかったです。幼い子どもたちへの補習クラスではマリン先生のお手伝いもしました。
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Q: クラスメートと何か問題を抱えることなどはなかったですか?
A:個人的には全くなかったです。私はクラスメートの姉妹のようであり、みんなが手伝いを必要とするときはいつでもアシストしていて、よく感謝のメッセージを受け取りました。宿題を手伝うために足を運ぶこともありました。私たちの教室は家族のようで、お互いに助け合っていて、この仲間意識が、私たちの代でALS合格者が多い理由だと思います。
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Q: 10年後の自分はどうなっていると思いますか?
A: 自分の家を持ち、世界中を旅していたいです。
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Q: KnKにメッセージや提案などはありますか?
A: 地域で実施している素晴らしい活動を継続し、若者や子どもたちが教育を続けられるよう励まし続けてほしいです。
KnKは私の心の中で特別な場所を占めています。KnKがなければ、夢を追い続ける勇気を持てている今の私はありません。
サポートと励ましに感謝します!

ALS卒業式で、マリン先生と他の生徒とともに
パヤタスのチルドレンセンターは、保護者によるガーデニングなど、子ども、若者、保護者など地域の方々の拠点、居場所として機能していることがクリスティーンさんのお話からもわかりました。関わりあい、助け合いながら勉強したり、セミナーやワークショップに参加することが、子どもたちにとって励ましとなっていることもうれしく思います。
引き続き、チルドレンセンターが、人が集まり、つながりの生まれる場所となるよう、活動を続けてまいります。

修了証書を掲げるKnKの生徒たち
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