活動ニュース

【パキスタン】女子の教育機会を阻む衛生環境と医療施設の深刻な現状

報告:パキスタン事業担当 村松さやか

2026年2月25日から引き続き、貧困率が高く、ジェンダー間の教育格差が大きい、また干ばつや洪水など気候変動の影響を受けやすいバロチスタン州ウスタモハマッド郡において事業を行っています。

これまでの同郡での2年間の取り組みにおいて、洪水被害や老朽化により損壊した学校の再建を進めるとともに、女子が安心して通学できる環境の整備、地域を巻き込んだ女子教育の促進、ジェンダーに基づく暴力の予防と対応、さらに気候変動に適応可能なコミュニティの構築に取り組んできました。

校庭の隅で授業を受ける子どもたち(整備前の様子)

一方で、1年目および2年目の活動を通じ、不就学児の家庭訪問や女子生徒への聞き取りから、女子の就学を妨げる新たな要因が明らかになりました。それは、月経衛生管理(以下MHM )を含む衛生環境へのアクセスの不足です。トイレや衛生設備の欠如、思春期の健康に関する知識の不足などにより、推計では5人に1人の女子が月経中に学校を欠席しており、義務教育として学校に通える期間全体に対し、およそ1年間の学習の機会を失っていることになります。これらは、小学校卒業後の高い中退率の一因ともなっています。

パキスタンにおける調査では、44%の女子が家庭・学校・職場において基本的なMHM設備(手洗い場や石鹸など衛生的なトイレや生理用品)にアクセスできていないとされ、また49%が初経前に月経に関する知識を持っていなかったと報告されています 。月経に関する沈黙の文化も依然として課題であり、正しい知識と適切な支援の提供が求められています。

実際に、事業対象地の女子生徒からは、「現在の学校は洪水や老朽化により安全性に不安があり、学習に集中できない」との声に加え、清潔な飲料水やトイレなどの衛生設備の不足、特に月経時に安心して過ごせる環境が整っていないことへの懸念が寄せられています。学校で予期せず月経が始まった際に、必要なモノや適切な環境が整っておらず、不安や羞恥心を感じる経験も報告されています。

今回の事業対象校の様子①(Habib Kot校)

 

今回の事業対象校の様子②(Noor Pur Jamali校)

こうした衛生環境の不備や知識の不足は、感染症などの健康リスクを高める一因となっています。加えて、対象地域では医療施設へのアクセスが限られており、女性医師の不足や文化的背景から医療機関の利用が進まない状況も見られます。その結果、家族の健康悪化時には女子が看病を担う傾向があり、就学の継続がさらに困難となっています。

このような課題に対応するため、本事業では、学校の再建に加え、トイレや衛生設備の整備を行います。あわせて、洪水や老朽化により機能を失っている農村部における地域レベルの基本的な医療施設(基礎保健ユニット)の再建にも取り組みます。さらに、女性の医療従事者を配置することで、コミュニティ全体を含めた女子の健康管理体制を強化し、女子教育の促進につなげていきます。

現在の医療施設

 

医療施設にて。調査を進めるKnKスタッフ

※ パキスタンにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


50en imakihu

KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

寄付する
寄付する
資料請求

カテゴリー

月別アーカイブ