報告:ヨルダン事業担当 佐々木 恵子
2023年1月に第2期を開始したヨルダンにおける特別活動の実践と定着に向けた活動も残すところ、あと1年となりました。先月は、以前からヨルダンの先生やスタッフたちからリクエストのあった、日本とヨルダン両国の先生をオンラインで繋ぐ交流研修会を開催しました。日本とヨルダンの活動の違いやそれぞれの工夫、特別活動を通じて、学校生活で先生が子どもたちとどのように関わっていくのが良いのか、その理念や考え方をヨルダンの先生たちと共有できる、そんな機会にしたいと数か月にわたり準備を進めていました。
当日は、ヨルダンでインストラクターとして活動する先生や日本の先生、JICAやKnKのスタッフ、通訳も含め、計38名の参加があり、日本とヨルダンそれぞれの日直当番や学級会、縦割り班活動の様子など写真や動画を見たほか、低学年の児童に対する日直当番のサポートの仕方や学級会のテーマ設定、縦割り班活動の活用の機会など活発に意見交換がなされました。
日直については、人前で話すのが苦手な子ども、恥ずかしい、怖いと思っている子どもに対してどう対応しているか?というヨルダンの先生からの質問に対しては、複数人でやる、シナリオを用意する、パスでもOK、できるようになってから担当するのでもよい、というアイデアが日本の先生より共有されました。その際に大事なこととして、日直当番になった子どもが「頑張ってよかったな」と思える指導をすること、また、日直自身への働きかけも大事だが、日直以外のクラスメートへの働きかけも大事で、声の小さい子、大きい子、いろいろいる、このクラスで日直をしたいと思えるようなクラスづくりをすることが大事だという視点についても話されました。
学級会については、話し合いの内容や子どもの参加の方法について、ヨルダンの先生たちから多くの質問が寄せられ、あるヨルダンの先生からは「学習に困難を抱える子どもや障害を持った子どもの参加はどうしているか?」という質問が出たところ、日本の先生からは「学級会は話し合いと実行と振り返りまでが一連の活動としてセットで行う。そのため、例えば、話合いに参加できなくても実行や準備で関わるなど、その子に合わせた参加の方法がある。」と具体的なアドバイスが共有されました。
また、ヨルダンでは活動導入当初より、子どもたちの参加を促す動機づけや継続して取り組むモチベーションの維持が課題として挙がっていました。日本の先生からは、学級会で司会を任されるなど、自分に役割があることが子どもの学校に向かう意欲に繋がったケースや、ご褒美があるからやる、先生に言われたからやる、ではなく、自分たちがやりたいからやる、という子どもの内発的動機を生み出すのが教師の役割ではないだろうか、といった特別活動の良さや教師の役割について、ヨルダンの先生たちにメッセージが伝えられました。
これを受け、研修会終了後、ヨルダンの先生からは、子ども自身が活動を楽しみ、日直を自分からやりたがる生徒が出ていることそのものが、活動継続による大きな進歩であることを改めて実感したという声が聞かれました。また、日本では子どもたちが学級会の議題を決めているなど、子どもに主体的な役割が多くみられること、一方、先生はファシリテーターとなるなど、先生に求められる役割がヨルダンと異なることなどが印象的であったとの感想も寄せられました。これらの学びが、来月から始まるヨルダンの新学期において、先生たちの活動にどのように反映されていくか、フォローしていきたいと思います。
(※)本事業「特別活動の継続的実施と普及のための基盤整備事業」は、国際協力機構(JICA)より草の根技術協力事業として業務委託を受け、実施するものです。
https://www.jica.go.jp/partner/kusanone/partner/ku57pq00000x9tkg-att/jor_03_p.pdf
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