スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

パレスチナの今 ~映画と展覧会を観て思うこと~

こんにちは、パレスチナ事務所の福神です。
現在日本に一時帰国中なのですが、今日は東京で上映・開催されている映画と展覧会をご紹介します。(注:2024年10月25日現在情報)

映画

「忘れない、パレスチナの子どもたちを Eleven Days in May」

2021年5月の11日間で、ガザでは少なくとも67人の子どもたちが亡くなりました。映画には、亡くなった子どもたちの親や兄弟、いとこたちが登場します。
映画には、ニュース映像やガザの方たちがスマホで撮影したであろう映像の中に、子どものご遺体なども映っており、公式サイトにも「鑑賞にはご留意ください」の言葉が載っています。でも、映画に登場する子どもも大人も、そして今まさに、ガザで大規模な攻撃にさらされている方たちも、画面越しでも注意が入るような場面を、注意喚起も何もないまま、自分の生まれ育った場所で、実際にその場で体験し、家族や友人のご遺体を見ていると思うと、その過酷さに胸が詰まる思いです。
映画の公式サイトで私のコメントを紹介していただいているのですが、そこにも書いた通り、映画に登場する方たちからは、誰かを憎んだり責めるような言葉はなく、ただ静かに、亡くなった子どもたちと遊んだ思い出や、彼らが得意だったこと、将来の夢、何をしているときに空爆に遭い亡くなったか、どんな性格だったかが語られています。ひとつひとつの家族の物語に、愛する家族を思う言葉に、私はただただ圧倒されました。

「忘れない、パレスチナの子どもたちを Eleven Days in May」公式サイト
【予告編】

「私は憎まない」平和と人間の尊厳を追求するガザ出身医師の誓い

先日の、人道支援NGOからの声明・キャンドルアクション「停戦を、今すぐに」でもご登壇くださった、イゼルディン・アブラエーシュ博士のドキュメンタリーです。ガザのジャバリア難民キャンプ出身で、イスラエルの病院でも産婦人科医として働いていた博士は、2009年自宅がイスラエル軍の戦車からの砲撃を受け、娘さん3人と姪っ子さんを亡くしました。そんな博士やご家族の姿、そして彼の周りにいるイスラエル人ジャーナリストの姿から、「憎まない」とはどういうことか、改めて考えさせられました。

「私は憎まない」公式サイト
【予告編】

「ガザ=ストロフ -パレスチナの吟(うた)-」

2008年12月末から2009年1月にかけてイスラエルによるガザの大規模侵攻が起きた後、停戦の翌日にパレスチナ人権センターの調査員と共にガザに入った監督が撮影したドキュメンタリーです。この映画を監督したサミール・アブダラとケリディン・マブルークは、犠牲や被害は数ではなく、「顔を持つ」ものであり、1人1人の物語があると言い、2023年10月以降ガザで犠牲になった人々の顔をリアルタイムで発信する「ガザ・フェイス」https://gazadesvisages.com/index.php/en/の主要メンバーです。

3作を見て、ただ「イスラエル軍による攻撃」と報道されるニュースに、どんな事実があるのか、犠牲がただ数としてだけ伝えられ、遺体としてニュースに流れる人たちが、どんな毎日を過ごし、どれだけ家族から愛され、どんなことを思っていたか、そんなことを考えました。

「ガザ=ストロフ -パレスチナの吟(うた)-」公式サイト
【予告編(英語)】

展覧会

MAMプロジェクト032:バディ・ダルル

シリア人の両親の元パリで生まれたバディ・ダルルの「ランド・オブ・ドリームス(夢の国)」が森美術館で展示されており、先日シリア人の友人に誘われて行ってきました。展示のひとつ、《扉や窓のない国》は、マッチ箱の中に小さな絵が入っているのですが、日本に住んでいた経験から描いたと思われる日本の風景や、彼のルーツでもあるシリアの他、パレスチナの風景や場面もいくつか登場しています。小さなマッチ箱の中に並んでいる1つ1つの絵は可愛らしいのですが、そこに描かれている戦争の場面、美しい景色、人の表情、お葬式の様子などを見ながら、自分の日常と、箱の中の日常の繋がりを考えさせられました。
2025年1月19日(日)まで開催。

「MAMプロジェクト032:バディ・ダルル」森美術館公式サイト

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