特集:バングラデシュのストリートチルドレンを救え

特集:バングラデシュのストリートチルドレンを救え

2011.12.01

「ほほえみドロップインセンター」をダッカに開設

アジアの子どもたちに笑顔を!生きることへの希望を!という呼びかけの元、昨年6月よりスタートした「ほほえみプロジェクト」(主催:DATV)からの支援金で、今年9月、バングラデシュの首都ダッカにストリートチルドレンやワーキングチルドレンを対象とした「ほほえみドロップインセンター」が開設しました。

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今回は、その活動内容やセンターを利用する子どもたちの暮らしぶりについてご紹介します。

 

ダッカにおけるストリートチルドレンの現状

国連の調査によれば、現在、首都ダッカには、親元を離れ、路上で生活するストリートチルドレンと呼ばれる子どもたちがおよそ30万人いると言われています。子どもたちがダッカのような大都市に集まってくる理由は、彼らの生まれ育った村に比べ仕事が見つけ易いという点が上げられます。
例えば、 私たちのセンターは、ダッカの玄関口と言われるショドル・ガット(大きな船着き場)の対岸に位置していますが、 さまざまな理由で村を離れた子どもたちが毎日この船着き場に辿り着きます。ここは、人の往来が激しく、また、周辺には、地元の人や船の乗客相手に衣服や食料品、雑貨を売るお店がひしめきあっており、子どもでも仕事を得るチャンスがあるのです。

子どもたちが家を離れる理由はさまざまですが、一番よく聞くのが、家庭の経済的危機です。次に多いのが、親または親子間の問題、例えば、親からの虐待、親の再婚、親の死、親とのけんか、親からの仕事の強要がきっかけとなり家を飛び出してきたケースです。また、親との間に問題はないのですが、家庭の貧困状況を案じ自分の意思でダッカに稼ぎに来た子ども、大都市であるダッカを一度見てみたくて、自分の意に反しバスに乗って眠ってしまい気付いたらダッカに辿り着き帰るお金がなくダッカに居着いてしまった子どももいます。その他、自然災害などの外的要因も一つの原因として上げられます。

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新聞を売りストリートで生きる彼ら、当然ながらその生活には、さまざまな危険が伴います。例えば、夜寝ている間に稼いだお金を盗まれる、警官にぶたれる、マフィアからの搾取、給料の未払いや不当な賃金での労働、などが上げられます。また、彼らの仕事、新聞やポップコーン売りの仕事は、車やリキシャ(三輪の人力車)、バスなどの交通量の多い路上で行われるため、危険です。

また、子どもたちの多くは、裸足で生活しているため、足裏の傷が絶えません。センターを利用する子どもたちによく見られる身体的症状としては、仕事や路上、けんかでできた擦り傷、切り傷、打撲。また、栄養不足や不衛生な路上での生活が原因による皮膚病などが上げられます。その他、センターの子どもたちの中には、空腹や傷の痛み、孤独などの気持ちから逃れるため、ドラッグを使用している例が少なくありません。

 

安らげる場を必要とする子どもたち

ここ「ほほえみドロップインセンター」は、朝の9時から夕方の5時まで上記のような子どもたちに対し、基礎教育、レクリエーション活動、昼食、カウンセリング、メディカルサポート、啓発活動などを提供しています。その他、センター施設内には、シャワー施設設備、私物を保管できるロッカー、キッチンスペースが備わっています。現在センターには6~16歳の年齢の子どもたちが一日延べ、40~45人訪れています。残念ながら少女の来訪はほとんどありません。というのも、このエリアは、船着き場が近くにあるため、少女の親がセンター来訪を警戒しているのが原因です。また、少女の場合、ストリートで保護者と生活をしている場合が多いのですが、その場合、移動性が高く、一つの場所に留まってはいないため、センターに常時足を運ばせるのが難しいのが現状です。

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ダッカで生まれ育った子どもたちはほんのわずかで、ほとんどの子どもがボリシャルやクルナ、シレット、マイメンシンなどの地方都市の村から一人または兄弟や友だちとダッカに来ました。子どもたちは、ゴミ拾い、荷物運び、バス・ヘルパー、水売り、果物売り、物乞いなどで日々生計を立てています。
学校に一度も行ったことがない子どもが半数を占めており、残りは、簡単な読み書き、計算ができます。
センター常住常駐のスタッフは、現在6人。センターの代表者であるプロジェクトコーディネーターのショリフさん、フィールドへ出て子どもたちにセンターを紹介したり基礎教育を担当するソーシャルワーカーのタリクさんとビプロブさん、カウンセラーのゴパさん、初期の応急処置医療補助や衛生教育を担当するパラメディックのミジャンさん、見習い指導員のエデュケーター、ファリザナさんです。センター開設から2カ月が過ぎ、子どもたちとスタッフの間に徐々に信頼関係が生まれてきています。

 

少年の一日

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ここでセンター、子どもたちの現状をより知ってもらう為ため、センター開設時より施設を利用している一人の男の子をご紹介します。彼の名前は、カジョール。12歳。

KnKバングラデシュの支援地域であるボリシャル管区の出身です。警備員だった父親がある日、突然、心臓発作で亡くなり、夫の死にショックを受けた母親も後を追うようにしてこの世を去りました。その後は、メイドとして住み込みで働くおばあさんに引き取られ、住み込み先彼女の主人の家でカジョールも手伝いをしながら生活していました。そんな折、カジョールのお兄さんが彼をダッカに誘います。それが今から3~4年前のことです。
その後、お兄さんは、リキシャプーラー(リキシャの運転手)となりましたが、カジョールを養うことができなかったため、彼はここショドル・ガットで働き生活することを選びます。その細い体に反し、腕っ節が強く、けんかっぱやい所もありますが、ソーシャルワーカーらの言うことを良く聞く素直な一面もある、笑顔が素敵な男の子です。

下記グラフは彼のある日の一日を表したものです。
この円グラフに沿って、彼の生活をご紹介します。

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(1)9:00~9:30AM
カジョールがセンターに来るのは、センターオープンの9時です。受付を済ませ、歯磨きやシャワー浴びをし、その後、前日稼いだお金をスタッフに渡し貯金してもらいます。それが済むと、朝礼ミーティングにて、昨日の出来事をみんなでシェアします。

センターに来たらまずは、 受付を済ませます

センターに来たらまずは、
受付を済ませます

朝礼ミーティングの様子

朝礼ミーティングの様子

(2)9:30~11:00AM
その後は、キャランブルやすごろくなどで遊びます。仕事で疲れている時は、この時間寝て過ごします。

キャランブルで遊んでいる様子

キャランブルで遊んでいる様子

(3)11:00AM~12:00PM
基礎教育(センターではベンガル、英語、数学他に、絵画などの時間があります。)の時間です。カジョールは、両親がいた時期に学校に一時通っていました。しかし、クラスメイトの嫌がらせに会い、すぐに行くことをやめてしまいました。両親の死後は、貧しさで学校へ復学することが難しくなったため、彼にとって、センターでの教育は再び学びの機会を得る場となりました。将来は、ちゃんと勉強し、警察官かフェリーの操縦士になるのが夢です。

いつも真剣に授業を受けるカジョール

いつも真剣に授業を受けるカジョール

(4)12:00~2:00PM
パラメディックからの衛生教育を受けた後、自由に時間を過ごします。スタッフによる、このような啓発活動は子どもたちにとって、人気のアクティビティーのひとつになっています。

パラメディックによる衛生教育の様子

パラメディックによる衛生教育の様子

(5)2:00~3:00PM
昼食。この日のメニューはご飯、野菜と魚のトルカリ(汁けのあるバングラデシュ版カレー)とダル(汁もの)をセンターの子どもたちみんなで食べます。
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(6)3:00~4:00PM
昼食後は、テレビタイム。この日は、人気アニメ「ミーナ」をみんなで鑑賞しました。
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(7)4:00~4:30PM
ソーシャルワーカーと共に、現在の問題点、改善点などを話しあうグループセッションを行います。この日のお題は、「夜間のリスクについて」です。ソーシャルワーカーから、夜は路上で寝るのを避け、ナイトシェルターなどの施設を利用するようにという指示がありました。
センターに来てから、何か変化はあったかカジョールに聞いてみました。彼の返答は下記のようなものでした。

「いろいろなことを学んだ。名前をかけるようになったし、手足を毎日洗うことが重要だと知った。また、ルールを守ることの重要性や、食事中音をたててはいけないことも学んだ。良い人になりたければ、自分の態度を変えなければいけないことも学んだし、自分の話し方や態度を気を付ければ人から愛されることも学んだよ」

センターの存在は確実に彼にとって変化をもたらしています。

ソーシャルワーカーと共にグループセッション

ソーシャルワーカーと共にグループセッション

(8)(9)4:30~6:00PM
センター退出後、寝床兼仕事場であるショドル・ガットに船で戻り、一時同じ年代の子どもたちと余暇を楽しみます。この船代、通常一人2~5タカ(約2~5円)かかるのですが、センタースタッフが船着き場のスタッフに掛け合い、子どもたちは無料で乗船できるようになっています。

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センターからショドル・ガットまでは船でおよそ5分

(10)6:00~9:00PM
仕事の時間です。ボリシャルなどの地方へ行くフェリーに乗り込み乗客に水を売ります。午後6時から10時の間が稼ぎ時の時間だそうです。

<仕事時の様子、フェリー内を練り歩き乗客に水を売る>

<仕事時の様子、フェリー内を練り歩き乗客に水を売る>

(11)9:00~10:00PM
夕食。この日は、船着き場付近のお店で大人にまみれ、一人20タカ(約20円)のカレーを食べました。
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(12)10:00PM~5:00AM
寝床は、船着き場の橋の上です。現在は、知り合いの男の子と2人で寝ています。しかし、ここはオープンスペースのため、時々見しらぬ人や同年代の子どもから蹴られることがしばしばあり熟睡は難しいとのこと。また、11月は、乾季にあたり、朝夕は冷え込むため、この時期の寒さは彼にはこたえます。

夜のショドル・ガット

夜のショドル・ガット

カジョールの寝場所

カジョールの寝場所

(13)~(15)5:00~9:00AM
睡眠後、歯磨きなど身支度を済まし、仕事再開です。まずは、水を入れるプラスチックボトルを収集し、それらに水を入れ、乗客に売ります。朝の6時から8時まで働き給与は一日およそ20~30タカ(約20~30円)。それに朝食が雇い主からもらえます。インタビュー中、彼に「親友はいるの?」と聞いたことがありました。彼の返答は、「同じ年代の子どもでも、ストリートでは、仕事の取り合いだから、友だちを作ることは難しい。」というものでした。彼の言葉は、路上での生活がいかに厳しいかを物語っています。 仕事は朝の8時で終了。その後、朝食を食べ、センターに向かいます。こうして、また彼の新しい一日が始まります。村とダッカとの生活を比較し、自然や遊ぶ場所にあふれ、大好きな果物があった村の生活が好きと語るカジョール。現在は、おばあさんが恋しいとも話してくれました。

カジョールは、小さな体ながらもダッカで力強く生きています。

 

子どもとして過ごせる時間を

センターには、カジョールのような子どもたちが毎日多く訪れています。彼らの置かれている立場は、貧しく、危うく、そして、厳しいものです。子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた「子どもの権利条約」は、「生きる権利・守られる権利・育つ権利・参加する権利」という4つの柱で成り立っています。残念ながら、センターを利用する子どもたちがこのような権利を享受することは無いに等しいのが現状です。子どもたちは、急いで大人にならざるおえない環境に身を置いています。 そんな中、唯一彼らが安心して子どもに戻れる場所、子どもとしての時間を過ごせる場所が、ここ『ほほえみドロップインセンター』です。絵が上手な子ども、歌が上手い子ども、字が上手にかける子ども、年下の子どもの面倒を見られる子どもなど、様々な可能性を持った子どもたちがたくさんいます。子どもがこの世界で当然与えられている権利のサポート、そして、彼らの能力を開花させるべく、センターでは、このような子どもたちに対し、最終的に彼らのコミュニティーや家族、そして学校への帰還を目標として日々サポートを続けています。

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ほほえみドロップインセンターでは

1日50円(毎月1500円)のご支援で・・・
1人の子どもが、20日間栄養バランスのとれた食事をとることができます。
1日100円(毎月3000円)のご支援で・・・
1人の子どもが、1年間基礎的な教育を受け、なおかつレクリエーション活動を楽しむことができます。

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