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バゴンシーラン/友情のレポーター(2019)

友情のレポーター(2019)としてフィリピンを取材した伊藤里久(いとうりく/15歳)さんよりウェブ取材レポートが届きました。

* * * *

アレックスと話して

7月29日の午前中は、前日の写真ワークショップでも交流したアレックスの家に行った。
彼は13歳で、マーケットで仕事をしている。彼の家もマーケットの近くにあった。家に入ると、一階はリビングで、お父さんと弟、妹が床で寝ていた。階段を上ると、バルコニーがあって、そこでインタビューをすることにした。
まずアレックスの普段の生活について聞いた。朝はお母さんの仕事を手伝いに、一緒に野菜を売りにいくこともある。昼はマーケットで仕事。隣人の子どもを手伝い、給料を貰う。夜はお母さんの帰りが遅いときは兄弟の面倒を見たり、家事をして、お母さんの帰りを待つので寝るのが遅くなるときもある。
公立の学校には通っていなくて、KnKのノンフォーマル教育のクラスに週3回通い、小学校卒業の資格を得るために勉強しているそうだ。

私がインタビューの中で一番印象に残っていることは、生活の中で楽しいことを聞いたときだ。彼は、人を助けることが楽しいと言った。理由を聞くと、助けた人の笑顔を見られるし、「ありがとう。」という言葉を聞けるのが嬉しいからだ、と言われた。私はこれを聞いて、アレックスはすごくかっこいいなと思ったし、私もこんな人になりたいと思った。きっと自分だったら、毎日仕事や手伝いをするのは、人助けになるというよりも自分にとって大変だ、と真っ先に思ってしまうからだ。

しかし、仕事や洗濯などの家事は大変だとも言っていたし、「もし仕事をしなくて良かったら、学校に毎日通いたい?」と聞くと、「通いたい。」と即答した。将来の夢を聞くと、「警察官になりたいけれど、そのためには学校に通わなくてはいけないだろうからなれるか分からない。」と言っていた。また、コンピューターゲームをしたりバスケをするのが好きだという子どもらしい一面も見えた。
私は、そんな彼の言葉を聞いて、彼にはもっと、彼自身のために、勉強したり、たくさん遊んだりする時間が必要なのではないかと感じた。しかし、仕事の中にやりがいを見出しているアレックスは輝いて見えたし、素敵だと思った。また、「今の生活を変えたいと思うか?」という質問に、「思わない。自分の人生だから。」とはっきり答えたその言葉も、本当の気持ちであると伝わって、私は複雑な心境になった。

アッシュの家に行って

午後はアッシュの家に行った。アッシュは8歳の女の子で、笑顔がとてもかわいらしい。最初は少し恥ずかしがり屋さんなのかな?と思ったけれど、一緒に遊んだり、話すうちに仲良くなれた。
家にはお父さんとお母さん、お兄さんとお姉さん、弟2人と住んでいる。玄関は少し狭くて、暗くて急な階段を上ると、リビングがあった。ソファ、テレビ、ベビーベッドがあった。

リビングでは家族でテレビを見たり遊んだりするという。お兄さんとかくれんぼをしたり、9ヶ月の弟をくすぐって遊ぶのが楽しいと言っていた。ソファの上には大きなスポンジのようなものがあって、「何に使うの?」と尋ねると、アッシュが寝るときに床に敷くマットだという。そのマットはアッシュよりも小さいと言っていて、実際に寝てもらうと、窮屈そうだった。「もっと大きなベッドやマットが欲しい?」と聞くと、「これで充分。」と答えた。マットは小さいと言っていたし、見るからにアッシュには小さなマットだけれども、もしかしたら、お母さんや他の兄弟が聞いていたからそう言ったのではないかと思った。また、夕方5時からマーケットにジャガイモを売りに行くという言葉を聞いて、いつもの元気に遊んでいた姿や、家族を楽しそうに紹介してくれた姿とのギャップを感じて、また複雑な気持ちになった。

2人を訪問して、彼らのたくましさや思いやりのある心を感じられた。その反面、2人の子どもらしい一面も垣間見れて、2人にはもっと勉強したり遊んだり、自由に楽しむ時間があってもいいのではないかと強く思った。
2人のことをよりよく知れた1日だったし、インタビューをすることで色々なことが分かるのだと実感した1日でもあった。

(文中の子どもたちはすべて仮名です)

<主催>認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛>国際ソロプチミスト東京-広尾、フィリピン航空、オリンパス株式会社
<協力>Dialogue for People、株式会社GARDEN
<助成>公益財団法人三菱UFJ国際財団

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