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友だちの心の奥を取材するということ/友情のレポーター(2018)

友情のレポーター(2018)としてカンボジアを取材中の落合愛友海(おちあいあゆみ/16歳)さんによるウェブ取材レポートです。

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タンヴァとスマイの家庭訪問

カンボジア滞在4日目の朝、この日は特に仲良くなった「若者の家」の友だちであるタンヴァという女の子とスマイという男の子の家に家庭訪問をする日でした。しかし、私はあまり気が進みませんでした。
何故かというと、前の日のインタビューで私の「家族に会いたいと思いますか?」という質問にタンヴァは「会いたいけれど、今は職業訓練に集中して手に職をつけてから会いに行きたい。」と答えていたからです。タンヴァはいまビューティーサロンで職業訓練を受けている真っ最中。彼女が‘家族に会うのは手に職をつけてからがいい’と思っているにも関わらず、私たちのインタビューのせいで、彼女の思い描いている家族との再会ではなくなってしまうため申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そんな気持ちを抱えながら車に乗るとそこにはすでにタンヴァとスマイが乗っていました。タンヴァは笑顔で挨拶をした後、手招きをして私を隣に座らせてくれました、そして笑顔で手を握ってくれました。つないだ手から温かさが伝わってきて気持ちが少し落ち着きました。

タンヴァと彼女のお母さんにインタビュー/Photo by Natsuki Yasuda

 

インタビューで気付かされたこと

タンヴァの家に着き、彼女と家族が約4ヵ月ぶりに再会をしました。照れくさそうな笑顔でお母さんと話す姿を見て、安心しました。
インタビューが始まり、場の和やかな雰囲気は一変。皆が厳しい顔をし始めました。
お母さんの口から発せられる彼女たちの辛い過去の経験に胸が痛くなり、私がなみだをながすと、タンヴァが目を赤くしながら手を差し伸べてくれ、握ってくれました。

Photo by Natsuki Yasuda

彼女はどんなに辛い状況でネガティブな気持ちになっているときでさえ、彼女自身のことよりも周りの人のことを良く見ていて、手を差し伸べてくれる素敵な女の子だと心から思います。

電気もガスも水道もない環境で暮らしているふたつの家庭を訪問し、薪わりや料理のお手伝いをしたり、家族がどのように生活しているのか注目してインタビューをしたことで、「夜でも明るい部屋で勉強ができ、洗濯機で簡単に洗濯ができ、いつ床が抜け落ちてしまうか分からない不安に駆られずに料理ができる」そんな日本ではあたりまえのことがどんなに幸せなことか気が付くことができました。

タンヴァの家で薪づくりの手伝い

雨季で頻繁にスコールが降り、いたるところにぬかるみがある

 

聞いてくれてありがとう

インタビューをする中で、「若者の家」にいる友だちの優しさと心の強さに気が付きました。彼女たちは辛い過去を経験していながらも明るく陽気に接してくれます。思い出すのが辛いだろう過去のことを聞き、その残酷さに私が涙を流してしまったとき、涙を拭ってくれ、私の気持ちが落ち着くようにと手を握ってくれました。
特に印象的だったのはワンダというおちゃめな18歳の女の子に「若者の家」に来る前の話をインタビューした後のやりとりです。
「辛い記憶を思いださせてしまってごめんなさい。」私が謝ると
「話しているときは当時のことを思い出して泣きたくなったけれど、今は話せてスッキリしてる!聞いてくれてありがとう。」と笑顔で言いながら背中をさすってくれました。彼女の心は優しく、それでいて強いのだと思いました。

心から尊敬する「若者の家」にいる彼女たちと一緒に過ごせる時間はあとわずかです。
残された時間を大切にし、彼女たちと一緒に笑って、遊んで、泣いて沢山の思い出を作りたいです。

台所でスマイに飲料水の作り方を見せてもらう

スマイの妹が、調味料の作り方を教えてくれた

<主催> 認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛> 国際ソロプチミスト東京-広尾
<助成> 公益財団法人三菱UFJ国際財団

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