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ティナのこと (2) 同じ人間。同じ空の下。/友情のレポーター(2017)

前回の話

あるとき、小さい子が深いプールに入りたいといったので、私が抱いて連れていきました。手を放すまいと真剣な私の周りを、みんなが笑いながら取り囲みます。その中に、ティナがいないことに気付きました。

あたりを見渡すと、昨日と同じように、今にも泣き出しそうな顔をしたティナが1人でこちらを睨んでいました。そして目が合ったかと思うと、急にそっぽを向いて柵に腰かけたのです。慌ててそばに行っても、一切目を合わせてくれませんでした。

「大丈夫?」そう問いかけても、何も答えてくれません。また色々な思いが頭を巡ります。そこで私は、とにかくティナのそばにいることを選びました。一緒に広い空を眺めました。そして、葉っぱをハートの形にちぎってティナに渡しました。彼女はそれを、黙って受け取りました。

あれ!? ティナがいない…

1時間ほど経ってもそのままだった彼女のことが不安になり、私は菜津紀さんにティナの様子を伝えました。すると、菜津紀さんはこういったのです。

「彼女はパヤタス(ゴミ山のあるスラム街)の子でしょ。そこの子はパヤタスから出たことがないことも多いんだ。だから、楽しい時間が続くことに対して怖いという感情を抱いてしまうこともあるんだよ。それとこれまで、たくさんのNGOの方と交流して、別れて。を繰り返してきたから、この友情もいつかは終わっちゃうんだと思って悲しくなってしまっているのかもね」

それを聞いて、私は本当に悲しい気持ちになりました。あんなにキラキラしていたティナは、この時間を純粋に楽しむ権利すら持っていないの!?そう思うと、涙がとまりませんでした。

しばらくして、彼女が私のところにやってきました。そして、「りんお姉ちゃんと友だちになれて嬉しかった。さっきはごめんね。また泳ごう!」と言って、私が渡したのと色違いのハートの葉っぱをくれました。

私は嬉しさと悲しさが入り混じって、また泣いてしまいました。それから彼女の手に引かれ、私たちはまたプールへと走り出しました。

ティナが私の隣に戻ってきてくれました

ハートの葉っぱ

青少年鑑別所にいた13歳の少女のこと

私が「自由の国、フィリピンの影」で書いた女の子のことを覚えていますか?そう、収容された理由を聞かれたとたん泣き出してしまったあの女の子です。

後から聞いた話によると、あの13歳の女の子は性犯罪の被害に遭い、地域社会から隔離するために鑑別所に収容されたとのことでした。そして、その子の収容理由を把握できていなかった職員の方は私たちのインタビューをきっかけにそのことを知り、その女の子は専門の施設に保護されたそうです。

本来、鑑別所は罪を犯した子を収容する場所です。それなのに、なぜ辛い記憶を“負わされた”小さな女の子が、あの暗い鉄格子の中に入れられなければならなかったのでしょう。この話は、めでたしめでたしでは終わりません。被害に遭ったときの記憶、そして暗い檻の中の記憶は、いつまでも彼女の心に残り続けるからです。収容できればどこでもいいのでしょうか。あの女の子は、モノなのでしょうか。いいえ、違います。

私も、ティナも、そしてあの女の子も。思いっきり笑う権利を持った、同じ空の下に生きる、同じ人間です。恵まれない子どもたちのことを考えるとき、「かわいそう」という気持ちばかりで、私たちはそのことを忘れがちだと思います。私たちと同じ、感情を持った子どもたちが、今この瞬間辛い現実を生きているということ。日本に住む私たちは、この現実から決して目を背けてはいけません。

心が通じ合えた1日でした

<主催> 認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛> オリンパス株式会社、国際ソロプチミスト東京-広尾

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