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自由の国、フィリピンの影/友情のレポーター(2017)

2017年フィリピン 「友情のレポーター」の山邊鈴(やまべ りん/15歳)です。

フィリピンに降り立ってすぐに感じたこの国の印象、それは「適当」でした。空港内の警察官が、なんとパンをもぐもぐ頬張りながら数人でお喋りをしているのです!!日本ではとても考えられません。
でも、「無気力」ではないのです。そこにはいつも、明るい雰囲気と人々の笑顔がありました。そう、フィリピンという暑くて熱いこの国は、「自由」をとても大切にする国なのです。その自由が、人々の生活に何を及ぼしているのか。そして一体自由とは何なのか。この1週間、じっくり考えてみたいと思いました。

マニラの空港に降り立った「友情のレポーター」の2人

取材初日、いざ青少年鑑別所へ

取材1日目。私たちはまず、青少年鑑別所へと向かいました。前日にコンビニでストリートチルドレンの子と少し話しただけで胸が苦しくてしかたなかった私は、果たして今日1日やっていけるのか、とても不安でした。ましてや、罪を犯して刑務所に入れられている子どもたち。きっと心はとても傷ついているはずです。そんな子どもたちと話すことに対して、相手を更に傷つけてしまうかもという不安と、悲しい気持ちにさせてしまった子どもたちの顔を見たくない恐怖が生まれていました。鑑別所のあるビルの階段を上るにしても、怖くて、同行してくださっている安田菜津紀さんの背中に隠れるように歩くことしかできませんでした。

そして、いざ青少年鑑別所へ。入った瞬間、鉄格子の中からこちらを見ようと身を乗り出している子どもたちが見えました。69人が収容されているというその部屋は、あまりにも不衛生で、あまりにも窮屈すぎるものでした。しかし、その表情は、笑顔でした。彼らのことを凶暴に違いないと思っていた私は、彼らが「笑顔になる自由」は奪われていないことを知り、少しほっとしました。

自己紹介する「友情のレポーター」に興味津々の子どもたち

檻の中で行われるアクティビティを見ても、みんなで楽しそうに喜びを表すダンスをしたりと、その様子は私たち日本の子どもたちと何ら変わりはありませんでした。大きな声で「リンチャーン」と叫びながら手を振ってくる子どもたちの表情を見ていると、本当に罪を犯した子どもたちなのかと疑問に思うほどでした。

鉄格子ごしに話しかけてくれる子どもたち

鑑別所にいた13歳の女の子にインタビュー

その後、鑑別所に収容されている13歳の女の子にインタビューしました。いくつか鑑別所の状況について質問したあと、「なぜ鑑別所に収容されてしまったの?」と聞きました。すると、その子の目から、大粒の涙がこぼれ落ちてきました。そして、彼女は首を振りました。慌てて質問を変えましたが、涙は後から後からこぼれ落ちてきました。もう、その後に何を質問したのかはあまり覚えていません。この子には、思い出すだけで心が悲鳴をあげるほどのことが過去にあったんだ。そして、この子の胸の中にある深い傷を私の言葉がえぐってしまったんだ。その現実が頭の中をぐるぐると周り、もう、何も考えられませんでした。
そうしている間にも、新たな子どもがやってきて、収容人数は70人となりました。この国の現実は、私の想像しているよりも、はるかに暗そうです。

少女の涙を見た後「好きな食べ物は?」など、なるべく本題から逸れるよう必死だった鈴さん

アクティビティの後、子どもたちにスナックを配るレポーターの2人

私たちを迎えてくれた子どもたちの笑顔の裏には何が隠されているのだろう

<主催> 認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)
<協賛> オリンパス株式会社、国際ソロプチミスト東京-広尾

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