活動ニュース

思い出に残る夏休み

報告:海外インターン 北本 摩耶

■思い出に残る夏休み

4月下旬、子どもたちの夏休みを利用して、マニラ首都圏に程近いオロンガポというところへ静養に行ってきました。両親に育児放棄されKnKの施設で暮らしている幼い子どもたちは、普段遠方へ出かけたり海へ遊びに行ったりする機会があまりないため、きれいな海や白い砂浜を見てとても興奮し喜んでいました。滞在中は海水浴や砂遊びだけでなく、ゲームや凧作り、歴史物語の読み聞かせの時間が設けられ、子どもたちはとても充実した時間を過ごしました。

これらの活動内容はすべて、幼い子どもたちが楽しみながら学べるようにと、ピア・エデュケーター(注1)たちがみんなで知恵を出し合って決めたものです。子どもたちは以前にも増してフィリピンの歴史などを知ることに興味を持つようになっており、ピア・エデュケーターたちの話に真剣に聞き入っている姿から、少しずつ成長しているのが伺えました。また、遊びの活動に参加するだけでなく、食事の後片づけや各活動の準備・片づけもそれぞれが役割を分担しながら協力して行いました。

ピア・エデュケーターたちは、幼い子どもたちの良き相談役や遊び相手となるだけでなく、海水浴中の子どもたちの監督および安全管理をおこなうと同時に、食事や就寝・起床などの生活管理もしながら安全で効果的な活動を実施することに努めていました。

(注1)ピア・エデュケーターとは?
現地の子どもたちのリーダー的存在。彼らも元はストリートチルドレンだった。リハビリテー
ションセンターに通ったり、ソーシャルワーカーの手助けなど並々ならぬ努力で更正した。自分たちの経験を活かしストリートチルドレンや貧しい子どもたちの良き相談相手となっている。リーダーとして子どもたちをまとめるかたわら学校に通い、遅れた学力を取り戻そうと頑張っている。

■着々と進む新しい「若者の家」の修繕工事

前回のウェブサイト報告で紹介した新しい「若者の家」は、現在も着々と修繕工事が進められています。修繕工事は、内壁の解体・設置作業だけでなく、子どもたちの安全を第一に考慮して非常らせん階段や火災報知機を設置したり、洪水が起こりやすい雨期でも水を汲み上げて排出することのできる特殊なポンピング・システムや、安全な水道水を常時確保できる貯水タンクなどが新たに取り付けられました。

さらに、各室内の照明が配置されたり、内装のペンキもきれいに塗り替えられて、完成もいよいよ間近に迫っています。子どもたちも、この新しい家で生活できるのを心待ちにしています。

また、新しい「若者の家」の完成後には、同敷地内で職業訓練事業も開始できるよう、現在、フィリピン人スタッフと日本人スタッフで構成されるハウス・プロジェクト・チームメンバーによる具体的な訓練内容の検討や実施スケジュール案の構成作業等が進められています。いくつかの企業やマニラで成功している職業訓練校を訪問して情報収集のためのリサーチを行ったり、必要な機材の視察や関連するワークショップの見学を行いながら、実施可能な訓練内容やカリキュラムづくりに取り掛かっています。

■非公式教育

5月下旬、国連平和大学の学生7名の方々がパヤタスの非公式教育の現場を視察・訪問して下さいました。非公式教育の授業を実際に見学しただけでなく、そこに暮らす生徒たちの家庭を訪問し現在の生活状況についてインタビューを行ったり、現地スタッフや地域ボランティアスタッフを交えた意見交換会を開いて今後のより良い活動の実施について一緒に検討しました。

パヤタスで暮らす住民の多くはゴミ山でリサイクル品を集めて生計を立てていますが、昨今では金融危機による不況等の原因によってリサイクル品の価格が下がり、地域住民の生活は徐々に苦しくなる一方です。

このような状況の中、貧しさから公式学校に通えずにいる子どもや、家族や兄弟のために学校を中退して日銭を稼ぐ子どもがいまだに多くおり、KnKではこうした子どもたちへの非公式教育だけでなく、すでに非公式教育を修了した約20名のピア・エデュケーターたちによる定期的なミーティングを通じてより効果的な課外活動を発案し実施しています。また、子どもの親や地域住民約30名を対象とした定期セミナーを実施し、教育の大切さを伝えたり、衛生・栄養管理の重要性を理解してもらう活動を継続的に行っています。

なお、パヤタスには現在5名の奨学生がおり、KnKフィリピンはこの奨学生に対し、公式学校へ通うために必要な学制服や鞄、教材等にかかる費用もサポートしています。

■日本からの訪問者

4月、5月もKnKの事業にご関心を抱いてくださる方々が「若者の家」を訪問してくださいました。滞在中は子どもたちといろいろなお話をしたり一緒に歌を歌ったりして、とても楽しい時間を過ごしました。子どもたちも、得意のダンスを披露したり、訪問された方々に感謝のメッセージを伝えていました。

また、ストリートチルドレンのための課外活動を行っているバリンタワックも視察してもらいました。バリンタワックの路上に暮らす子どもたちは、初めてあった訪問者にもかかわらずとても明るく親しみを込めて接してくれました。同行したピア・エデュケーターも、ストリートチルドレンに積極的に話しかけ、KnKが実施する非公式教育は無料で受けられることや、今後新しい「若者の家」では職業訓練を実施する予定であることを広く伝え、彼らが将来に希望を持って暮らせるよう努めていました。

訪問して下さった方々、ご寄付を下さった方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。これからも子どもたちのために活動を継続して参りますので、今後ともご理解、ご支援の程、よろしくお願い致します。

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