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人生は短いからこそ、誰かの役に立ちたい~ FWA事務局長ジャベット・イクバルのインタビュー

 

2015/12/10
報告:KnKスタッフ 熊本 晃順

死者数7万人以上、被災者17万人以上という甚大な被害をもたらしたパキスタン北部地震から10年。国境なき子どもたちがパキスタンで活動を開始して、同じく10年がたちました。この間、私たちはFWA(Friends Welfare Association)という現地団体と共に、倒壊した学校の再建を行い、子どもたちが安心して学べる環境を再整備してきました。

 

今回、FWA事務局長ジャベット・イクバル氏にインタビューをし、子どもたちの教育に向かう思いを尋ねました。

 

自己紹介をお願いします。

私の名前はジャベット・イクバルです。パキスタン北部の都市マンセラで、子どもや教育を支援するNPO「Friends Welfare Association (FWA)」の事務局長をしています。

家庭では妻と1歳、5歳、7歳の3人の娘がいます。

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KnKと出会う前について教えてください。

私は、仕事をしながらボランティアで子どもたちに勉強を教えていました。FWAがNPOとして独立する前のことです。そして2005年に大地震が発生しました。

多くの学校が倒壊または半壊の状態になり、子どもたちも多く被災しました。行き場を失った子どもたちに何かしたいと思う中で、緊急支援に来ていたKnKから電話を受けました。その時のことは今でもよく覚えています。

 

どうして子どもや教育の支援に関する仕事を目指そうと思ったのでしょう?

大地震後、子どもたちの教育環境改善に取り組むジャベット(2006年夏)

誰かに手を差し伸べることは、私にとってはとても自然なことです。だって人生は短いですから、自分のためだけでなく、誰かの役に立つよう時間を使いたかったのです。

特に、国のそして世界の将来を担う子どもの教育に関わることが、一番重要だと感じました。

 

大地震からの10年を振り返ってみて、どう感じますか?

地震は大災害でしたが、国際支援が集まり、世界中が手を差し伸べてくれていると感じました。またこの10年間、国としてさまざまな文化に触れ、国際機関と協働し、女子教育や女性の社会進出の門戸が開き、行政の質も向上し、教育分野では教師の質も高まりました。まだ完全に復興したとは言えませんが、これらすべてのステップが意味のある成長だと思っています。

 

この10年で最も印象に残っていることは何ですか?

地震後、震源地に近いバラコットに「New Hope Academy (NHA)」という非公式教育の学校を開設しました。そこに、地震で家族を失ったママシディという男の子が通っていました。彼は現在バラコットの高校で学んでいます。家族を失い、もしかしたら親戚の家や施設に預けられ、今とは違う10代を過ごしていたかもしれません。しかし、NHAが彼の学びの場となり、今につながる道をつくったことを、私はとてもうれしく誇りに思います。

NHAに通う子どもたち

NHAに通う子どもたち

NHAでの授業

NHAでの授業

 

一番大変だったことは何ですか?

文化的な違いです。海外の人々との違いはもちろん、同じパキスタンの中でも違いはあります。女子教育や中等教育以降への進学について抵抗を持つ人は、いまだ多くいるのです。私は、成果を作り上げていき、きちんと説得をし、この抵抗を和らげるよう挑戦しています。

 

KnKと共に活動する中で、支援を受けた子どもに変化は見られましたか?

学校が新しくなり、中退していた子どもたちが帰ってきました!これはとても大きな変化です。再建前には、トイレや水道もないところにテントやプレハブ小屋を設置し、かろうじて授業を行っていました。ひどいことに、青空教室もまだ多く存在します。夏暑く冬寒い過酷な環境に、多くの子どもたちが学校を中退し、また子どもを学校に送りたがらない親もいたのです。

この状況を変えられたことは、とても意義があると思います。

 

また、私たちは学校建設のみならず、生徒会やPTA、教員へのワークショップも実施し、みんなが学校運営に関われるよう研修を行っています。その結果、子どもたちが掲示板を使って情報発信し、また中退した子どもを訪ね新しい学校の様子を伝えるなど、学校に対する姿勢が強化されています。地域に根付き、地域が支えあう学校が築かれつつあることは、とてもうれしい変化だと思います。

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左からジャベット、学校関係者、KnK事務局長ドミニク・レギュイエ(2013年5月)

 

自分の子どもが成人した時に、どんな大人になってほしいと思いますか?またパキスタンがどんな国になっていてほしいですか?

個人的には、娘たちには将来医者になってほしいと思っています。パキスタンでは、山岳地域を中心に医療が質・量ともに十分ではありません。特に助産師など、女性をサポートできる女性医師の存在はとても貴重です。娘たちには私と同じように誰かを助け支えるような仕事をしてほしいと思います。

またパキスタンは、とても豊かな文化と歴史を持つ国です。しかし、残念ながら今はテロリズムという言葉と並列されがちです。私は教育が人々の灯火となり、平和を築いていくと信じています。パキスタンが教育の普及により安定した豊かな社会となるよう、私自身も尽力したいと思います。

 

日本の支援者にメッセージをお願いします。

私たちは、これまでに約50校の学校再建を実施できました。皆さまのご支援に心よりお礼申し上げます。私は、2011年3月の東日本大震災後、日本へ駆けつけました。この大災害の中、人々がどのように生活しているのだろう、何かお手伝いができないだろうかと思ったのです。訪問した岩手県沿岸部では、パニックなどなく、人々が気持ちを合わせ、日々生活をしており、私は大変感動しました。パキスタンの子どもたちにとっても、その姿はきっとすばらしいお手本になると思います。

東北被災地にて(2011年7月)

初来日。東日本大震災被災地、岩手にて(2011年7月)

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岩手県釜石市で釜石東中学校を訪問

これからも、私たちはKnKと共に、パキスタンの子どもたちが安全に学べる場所を築いていきたいと思います。どうぞ私たちの活動を、そしてパキスタンの子どもたちを応援くださいますよう、よろしくお願いします。

 

東日本大震災直後に届いたメッセージ

東日本大震災直後にパキスタンから届いた応援メッセージ

JAPAN IS ON OUR MIND

JAPAN IS ON OUR MIND 日本のことを想っています

 

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8,000円で、パキスタンの学校に通う子どもたちに、3人用の学習机とベンチ椅子を1セット提供できます。
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※ パキスタンにおけるKnKの活動は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用、ならびに日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

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