活動ニュース

パキスタンの未来を左右する「女子教育」の普及

2014/12/08
報告:KnKスタッフ 大竹 綾子

今年上旬に終了したマンセラ郡での学校再建事業の後、KnKは同じく地震の被災地であるアーザード・ジャンムー・カシミール(AJK)地域に対象地を移して事業を開始しています。少しでも多くの子どもたちが安全な環境で勉強をすることができるよう、これまでの経験をフル活用しながら、現地パートナー団体FWA (Friends Welfare Association)との協力により、約3年間で計20校の小中高校の再建を実現する予定です。

マハジール村の教育環境と子どもたち

カシミール地域は山岳地帯が拡がり、天候によって地すべりや地盤の侵食が起こり、そのため道路が遮断されるなど建設工事にも支障が起こりがちです。今年開始したばかりの事業でも地すべりで工事を中断せざるを得ない学校が発生してしまい、その代りに現地の教育局から再建の要望があったのがマハジール村の小学校と高校の2校でした。マハジール村では、2005年の大地震で学校が倒壊した後、政府の資金で中学校のみ再建されましたが、小学校と高校の校舎については予算がなく、生徒たちは依然として屋外や破損した校舎の片隅での授業を余儀なくされています。生徒全員が12月末に完成する新しい校舎を心待ちにしており、学校への登録者数はすでに40%も増えているそうです。

山あいで学習する子どもたち

山あいで学習する子どもたち

マハジール村の小中高の校舎は隣り合わせになっていることから、11月の訪問時には300名を超える少女たちのたくさんの笑顔に出会うことができました。生徒会が小中高の学校でそれぞれに組織化され、選挙で選ばれた各校8名の女子が各々の役割を担いつつ主体的に活動しています。

「私は環境担当なので美化週間を企画しています」
「私は風紀担当です。校内の秩序を守るための規則を作ったりします」
「生徒会のメンバーが役割をきちんと果たしているかどうかをチェックする監査役を担当しています」
など、自分たちが責任を持って参加していることをみな誇りに思っている様子でした。

マハジール高校の生徒会では復学キャンペーンを始めました

マハジール高校の生徒会では復学キャンペーンを始めました

マハジール小学校の8名の役員はやる気も満々です

マハジール小学校の8名の役員はやる気も満々です

マララ・ユスフザイさんはみんなのあこがれ

この生徒会の役員を中心にお話を聞いてみました。

Q:生徒会は学校内のどんな問題に対処しているのですか。
A:校内で手を洗う水や飲み水が足りなくなることがあります。そういう時は、学校周辺の村の人たちに呼びかけて水を提供してもらったりするのです。

Q:他に活動の例があれば教えてください。
A:学校を休みがちになったり、家の近所に学校に通っていない友だちがいれば、訪問して学校の楽しさを話したり、一緒に通学したり、その子のお母さんに授業で学んだことを伝えたりします。そうした働きかけをすることで学校に戻ってきてくれた友だちもいます。

Q:ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんを知っていますか。
A:知っています!(全員が声をそろえて答えてくれました。)学校で先生が教えてくれましたし、何よりも新聞によく記事が載っています。

Q:マララさんの受賞についてどう思いますか。
A:すばらしいと思います。どうやってそんなに多くを学ぶことができたのか教えて欲しい。どんなふうに努力したのかも知りたいです。この学校にもいつか招待したいと思います。

Q:マララさんに会うことができたらどんなことを伝えたいですか。
A:パキスタンだけでなく、世界中の女の子が教育を受けられるようにこれからも貢献し続けてほしい、とマララさんにお願いしたいです。

ロールモデルとして活躍している生徒会の少女たちが目を輝かせて話す様子を見ていると、まるで将来のマララさんが大勢いるような、そんな気持ちのよい錯覚に陥りました。学校再建事業は、このような生徒会の能力強化や保護者向けの啓発研修を含めて実施します。それにより、再建後も自立的で質の良い学校運営が続けられるよう期待しています。

将来のマララさんが沢山います(右端は大竹)

将来のマララさんが沢山います(右端は大竹)

パキスタンの未来を左右する「女子教育」の普及

パキスタンでは未だ義務教育制度が整っていません。初等教育を受けられていない子どもの数は500万人にも上るといわれています。女性の権利を抑圧するテロリストの温床とならないためにも、考える力、また人や世界とつながる表現力を育む教育の機会はパキスタンの女性や子どもたちにとって不可欠です。山あいで通学する子どもたちに学校と希望を与えることが平和へのプロセスに役立つのであれば、今後も微力を尽くしていきたいとあらためて感じています。

校舎が完成するまでテントで勉強する子どもたち

校舎が完成するまでテントで勉強する子どもたち

民家の片隅で肩を寄せ合って学ぶ

民家の片隅で肩を寄せ合って学ぶ

教育が地域の安定化への原動力となることを願って

教育が地域の安定化への原動力となることを願って

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50en   imakihu

※ パキスタンにおける学校建設プロジェクトは、外務省「日本NGO連携無償資金協力」の活用と、日本の皆さまからのご寄付により成り立っています。

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