活動ニュース

テントや学用品の配布

2010/10/06
報告:プロジェクト・コーディネーター 熊本 晃順
ジャパン・プラットフォーム
助成事業

国境なき子どもたちは、ジャパン・プラットフォームより資金を得て、パキスタン北西部のハイバル・パフトゥーンハー州コヒスタン郡という地域で、洪水によって被害を受けた学校を再開させるためのテントや学用品の配布活動を行っています。

コヒスタン郡は、高い山々に囲まれた地域で、緑豊かな美しい自然の風景が見られます。しかし洪水時には、その山から土砂や巨大な岩などが流されてきたことにより、川沿いの家々や学校、マーケットなどが破壊され、川へ流されてしまいました。現地のスタッフから「洪水前、ここには何百という家や商店が並んでいた」と話を聞いても、現在の状況からその賑わった姿はとても想像できず、被害の大きさを強く実感しました。
また巨大な岩は撤去することも難しく、この地域の主要道路のなかには、洪水が起こった7月末から40日近くも封鎖されていた場所もあったそうで、現在もなお復旧のための工事が進んでいます。

かつてここにはマーケットがあったそうだ。 今は岩や石が埋め尽くしている。

かつてここにはマーケットがあったそうだ。
今は岩や石が埋め尽くしている。

この付近では現在も道路復旧のための 工事が続いている。

この付近では現在も道路復旧のための
工事が続いている。

洪水前にはここに女子のための 学校があった。跡形もなくなっている。

洪水前にはここに女子のための
学校があった。跡形もなくなっている。

洪水によって流されてしまった橋。 ここを通って学校へ通う子どももいた。

洪水によって流されてしまった橋。
ここを通って学校へ通う子どももいた。

そんななか、9月20日から、実際にテントの配布が始まりました。
岩で埋め尽くされてしまったために、テントが設営できるよう岩や石を取り除き、土地を平らにするところから始めなくてはならない場所もありました。しかもその作業を行っているのは、かつてその場所に建っていた学校で教えていた先生でした。
学校でウルドゥー語や英語などを担当していたアブドゥラ先生(30歳)は、「テントの設営ができたら、すぐにでも学校を再開させることができます。テントがあれば、すべて可能になるのです。子どもたちの教育のための支援をとてもうれしく思います。日本に感謝します。」と話してくれました。

サッドバル君(写真一番左)、13歳。 友だちと作業の様子を見に来ていた。

サッドバル君(写真一番左)、13歳。
友だちと作業の様子を見に来ていた。

また、その作業を見ていたサッドバル君(13歳)にも話を聞くことができました。彼は、洪水によって流されてしまったこの学校に通う生徒でした。サッドバル君は、洪水が起こる直前に家族とともに川沿いにあった家を離れ、山の高い位置にある親戚の家に避難をして難を逃れたそうです。「洪水によって家は流されてしまった。とても怖かった」と話していました。しかし、学校がもうすぐ再開するということを伝えると、「とてもうれしい。語学の勉強が好きなので今から楽しみです」と言い、笑顔を見せてくれました。

また別の場所では、すでにテントの設営が始まっており、私も設営の手伝いをすることができました。設営には、学校の管理者やその家族や地域の人々などが参加し、今回の学校再開のためのプロジェクトを理解してくれ、協力してくれました。

学校の管理者であるゴラーム・フセインさん(左)、50歳。 彼の家族もテントの設営や学校の運営に協力してくれている。

学校の管理者であるゴラーム・フセインさん(左)、50歳。
彼の家族もテントの設営や学校の運営に協力してくれている。

この学校は、この周辺で唯一の女子が通える学校で(パキスタンでは、男女が別の学校に通うことが一般的)、洪水の前には300人もの生徒が通っていたそうです。学校の管理者であるゴラーム・フセインさん(50歳)は、「洪水で学校や学校へ通じる橋は流されてしまい、授業が行える状況ではありませんでした。しかし生徒の親からは、いつ学校が再開されるのかという質問が多く寄せられていました」と言います。「生徒の親も、そして地域の人々も、子どもたちの教育、特に女子の教育に対して、とても大きな関心を持っているのです」と教えてくれました。

地元の人の協力によりテントが設営された。

地元の人の協力によりテントが設営された。

今回、テントの配布と共に、コヒスタン郡の現状を知ることができました。
なかには、2005年10月に発生した地震により学校が半壊し、そのまま再開されず放置されていた学校も見かけました。道路や病院などに比べ、学校の復旧や再整備は後回しにされやすいのが実状だと感じました。

テントは4.8m×7.3mのサイズで、 40~50人の生徒が入る大きさである。

テントは4.8m×7.3mのサイズで、
40~50人の生徒が入る大きさである。

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テント資材のペンキの色が手についている子ども。 手伝ってくれたのかな?それとも遊んでいただけ?

テント資材のペンキの色が手についている子ども。
手伝ってくれたのかな?それとも遊んでいただけ?

だからこそ、このような場所でテントを配布し、より多くの子どもたちが安全に勉強できる場所を提供することは、非常に意義のあることであると言えます。
KnKは、5年前の地震発生以降、教育施設「ニューホープアカデミー」の運営や学校建設プロジェクトなどにより、子どもたちの教育の機会を提供し続ける活動を行っています。
今回の洪水による被災から復興するには長い時間が必要とされ、教育支援においても継続的に活動し続けることが求められます。
子どもたちの教育の機会を絶やさぬよう、
皆さまからのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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donation
被災した子どもたちを支えるため、緊急支援にご協力ください
パキスタンの洪水被害は国土の5分の1に達し、1540万人~2000万人の被災者のうち600万人が子どもと推定されています。
2005年のパキスタン大地震からの復興半ばに、再び人々を襲った災禍。今後も被害の拡大が懸念され、回復には時間がかかることが予想されます。
パキスタンはアフガニスタンやインドと国境を接し、「世界の平和と安定の要」と考えられています。平和と安定のためにも、次の世代を担う同国の子どもたちの教育が途絶えることがあってはなりません。
KnKは2005年の大地震発生以降、これまで延べ約2,500人の現地の子どもたちに対し、教育や心理ケアなどの支援を行ってきました。今回の緊急支援においても教育支援を軸に、現地パートナーとともに被災した学校施設へテントの配布などの支援を実施・継続していきます。
貧困や被災などで困難な状況にある子どもを、最も深い絶望に追いやるもの―― それは周囲の無関心です。被災した子どもたちへの温かいご支援を賜りますよう、お願いいたします。

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