活動ニュース

各地での活動

フィリピン

16世紀半ばから約400年にわたり植民地下にあったフィリピンは、その時代に大土地所有制が形成され、その後も農地改革が進まなかったことが現在でも残る貧富の格差の大きな要因となっていると指摘されています。GDP成長率は2012年以降5%以上を保っていますが、国際貧困ライン以下で暮らす人の割合は16.6%(アジア開発銀行、2018年)と貧困削減のペースは遅く、格差是正にはつながっていません。
また、しつけとして体罰や暴力が行われがちなフィリピンにおいて、暴力や虐待にさらされる青少年、家庭から逃げ出し路上生活を余儀なくされる青少年、経済的な理由で学校に通うことができない子ども、子どもの不適切な逮捕、拘留など、子どもの権利が十分に保障されていない現状が続いています。

活動概要

支援期間 2001年11月~継続中
活動地 マニラ首都圏ケソン市、カラオカン・ノース市
支援内容 ・コミュニティ(2ヵ所)で青少年と保護者へのノンフォーマル教育や課外・啓発活動、青少年の組織化・社会参加を行っています。
・自立支援施設「若者の家」における安定した衣食住と教育・訓練機会、心のケアを提供しています。
・青少年収容所を訪問し、子どもの権利やライフスキルに関するグループディスカッションなど教育活動を提供しています。
支援対象 ストリートチルドレン、貧困家庭出身の子ども、暴力や虐待に遭った青少年、法に抵触した青少年、保護者、家族等【直接裨益者約1,273名(2022年12月現在)】
※ KnKのフィリピンでの活動は、伊藤忠商事株式会社、レッドソックス(元オリックス・バファローズ)吉田正尚選手、寺田倉庫株式会社と日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

支援の紹介

若者の家

2001年11月よりスタートしたKnKフィリピンの「若者の家」は、伊藤忠商事株式会社のご支援により2009年12月に新設されました。ここでは虐待、育児放棄にあった子どもや路上生活をしていた子どもたちが共同生活を送りながら、スタッフによる適切なケアや教育を受けています。子どもたちは「若者の家」に来る前は家族や周囲の大人から暴力や虐待を受けるなど、周囲の人との信頼関係を築くことが困難な環境にあり、「若者の家」入居後も不安感や暴力的な言動を見せることが少なくありません。「若者の家」でスタッフやほかの子どもたちと関わりながら、学業や様々な活動を通し、自信を身に着けたり、人との信頼関係を築いていきます。

コミュニティでの支援

カラオカン・ノース市のバゴンシーランとケソン市のパヤタスという二つのスラム地域でノンフォーマル教育や啓発活動などを行っています。 バゴンシーランは貧困家庭が多数存在し、犯罪率も高い地域と言われています。またパヤタスは、以前は「スモーキーマウンテン」として知られたゴミ山のふもとの居住区です。 KnKはこの2ヵ所の地区においてチルドレンセンターを運営し、学校に行くことのできない子どもたちに教育の機会を提供しています。同時に、青少年自身が地域の子どもたちに関する課題を行政に伝えたり、子どもたち向けの活動を実施するなど、青少年の組織化、社会参加も後押ししています。また、子どもたちだけでなく、地域の大人に対し、育児のあり方や教育の重要性、思春期の青少年への対応の仕方などを学べるワークショップを実施、保護者の方々が子どもたちの活動に協力してくださるなど、地域の方々と共に子どもの権利が守られるよう活動を進めています。
2013年には新たにパヤタスでチルドレンセンターを開設しました。

国情報

フィリピンという国

マレー系の人々が住んでいたので、かつてはイスラム教でした。1521年にポルトガルのマゼランが上陸した時、キリスト教も入ってきました。マゼランは改宗と服従を要求したため反撃にあって戦死します。その間にスペインが何度も遠征隊を送り込み、征服しました。 1665年にスペインの植民地になり、スペイン皇太子フェリペにちなんでフィリピン島と名づけられました。それから三世紀の間キリスト教の布教や貿易に力を注ぎながらスペインが統治しました。大土地所有者と広大な領地をもつ修道会が生まれる一方で先住民は過酷な労働に苦しめられました。19世紀後半から民族主義運動が各層に広がっていきました。 1898年アメリカとスペインとの戦争がおこりスペインが破れた結果1902年にフィリピンはアメリカの植民地となりました。太平洋戦争中の3年間は日本の占領下におかれましたが、戦後1946年7月に独立しました。政情不安が続く中、マルコス大統領が1965年から10年以上も独裁的政治をおこないましたが、1986年の政変以降は大統領選によって政治がおこなわれています。 主な産業は農業で貧富の差が大きいです。人口は約1億800万人で90%がカソリック信者です。7,000以上の島から成り多くの火山があります。

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正式名称 フィリピン共和国 / Republic of the Philippines
国旗 フィリピン
面積 298,170平方キロメートル(日本の約8割)。7,641の島々がある。
人口 1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査)
首都 マニラ(首都圏人口約1,348万人)(2020年フィリピン国勢調査)
民族 マレー系が主体。ほかに中国系、スペイン系及び少数民族がいる。
言語 国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語及び英語。180以上の言語がある。
宗教 ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%。(ミンダナオではイスラム教徒が人口の2割以上)
時差 日本との時差はマイナス1時間。日本が正午のとき、フィリピンは午前11時。 【地球の歩き方】
政体 共和制
元首 フェルディナンド・マルコス大統領(2022年6月30日就任)
気候 熱帯性気候。年間を通じて暖かく、年平均気温は26~27℃。6~11月が雨期、12~5月が乾期と一応分かれているが、地域によってかなり差がある。
【地球の歩き方】
主な産業 ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業を含むサービス業(GDPの約6割)、鉱工業(GDPの約3割)、農林水産業(GDPの約1割)(2021年)
名目GDP 3,936億米ドル(2021年、出典:IMF)
一人当たりGDP 3,572米ドル(2021年、出典:IMF)
通貨と為替レート ペソ
1ペソ=約2.7円 (2023年10月)
「こんにちは」 マガンダン ハポン
「さよう なら」 パアラム
「ありがとう」 サラマット
【出典:外務省/2023年3月1日】

国と子どもに関するデータ

出生数 2,485千人 2021年
5歳未満児年間死亡人数(1000人当たり) 26人 2021年
若者(15-24歳)の識字率(男子) 98% 2013-2022年*
若者(15-24歳)の識字率(女子) 99% 2013-2022年*
初等教育修了率(男子) 89% 2013-2022年*
初等教育修了率(女子) 95% 2013-2022年*
中等教育修了率(男子) 75% 2013-2022年*
中等教育修了率(女子) 88% 2013-2022年*
高等教育修了率(男子) 74% 2013-2022年*
高等教育修了率(女子) 83% 2013-2022年*
児童労働(5-17歳)の比率(男子) 2013-2021年*
児童労働(5-17歳)の比率(女子) 2013-2021年*

*: データが、列の見出しで指定されている期間内に入手できた直近の年次のものであることを示す。
: データなし。

【出典:世界子供白書2023】

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