活動ニュース

「時には涙しながら何度も話し合い、寄り添い続けます」 KnKカンボジア事務局長、スレイ・サカンのインタビュー

2016/04/11
報告:KnKスタッフ 栗林 まどか

国境なき子どもたちが海外において初めて支援事業に着手したのは、2000年、カンボジアでのことでした。
カンボジアでは現在、ストリートチルドレン、人身売買の被害者、暴力や性的被害に遭った青少年などを受け入れる自立支援施設「若者の家」を運営する他、女性のための収入創出活動などを行っています。

活動開始から15年以上が経った今、KnKカンボジアの事務局長を務めるスレイ・サカンに話を聞きました。

160408_006

勤続13年のサカン

 

KnKカンボジアで働くきっかけを教えてください。

KnKカンボジアで働く前は、出身地であるバンテミエンチェイに拠点のある、他の国際NGOでソーシャルワーカーとして働いていました。そこでの支援対象者は55歳以上の方々で、私はそのNGOで約10年間ソーシャルワーカーとしてさまざまな経験を積みました。そこで対象者の年齢によって、どのような違いがあるのかに興味を持ちはじめ、青少年を対象にしたNGOへの転職を希望し、KnKカンボジアに入職しました。

 

なぜ青少年への支援に興味を持ったのですか?

以前の職場では、業務で訪れるさまざまなコミュニティでの活動を通じて、支援対象者ではない青少年との交流もたくさんありました。所属していたNGOは55歳以上を対象に活動していましたが、青少年である彼らにも同様に支援が必要だと強く感じました。なぜなら彼らは一見大人のようでもありますが、私自身もそうであったように周りの手助けや導きなしには成長できません。母や家族は、私に広い世界を教えてくれる知識などが充分ではなく、私はそれを自分の力で開拓せねばなりませんでしたが、周りに教えてくれる大人がいれば、青少年は自らもっと広い視野を持ち、世界を知るために勉強するようになるものです。

ご存知の通りカンボジアでは1970年にカンボジア王国が倒れてから1993年まで長きにわたり内戦状態が続いていました。私は1980年に17歳で難民としてタイの難民キャンプに避難し、それから13年にわたりそこで生活をしていました。キャンプから学校に通い、さまざまな大人たちにも出会いました。1993年にそのキャンプが閉鎖されると同時にカンボジアへ帰国しましたが、タイとカンボジア国境にはまだ兵士が残っている状態で、とても良い環境とは言い難く、タイに残りたい思いが強かったことを今でも覚えています。

 

年頃の青少年と接するにあたり、苦労はありますか?

ソーシャルワーカーとして当時既に約10年の経験がありKnKカンボジアの活動に参加しましたが、大人を対象とする活動と青少年を対象にするそれとでは大きな違いがありました。年配の方々はもちろん自分よりもたくさんの経験があり、1人の人間として確立されている場合が多いのですが、青少年たちは未熟な部分も多く、必ずしもこちらの助言や意見を素直に聞き入れるばかりではありません。しばしば反抗的であったり、こちらの言うことを信じてもらえないこともありました。

160408_003

 

KnKカンボジアは2015年で活動15周年を迎えました。

はい、KnKカンボジアは2015年で活動15周年を迎えました。他のNGOと比較しても15年の活動期間というのは長い方です。またKnK本部(東京事務局)は、カンボジア国内の他団体でよく見られるような裨益者数の増加ばかりを求めず、活動内容の質の向上に重きを置いています。それは、ここカンボジアで活動するNGOの中でも際立っている性質だと感じます。他団体では本部から資金提供を受けていることで、その活動内容において現場の声が反映されにくいという現状をたびたび耳にしますが、KnKには、その活動理念―Growing Together(共に成長するために)―が示すように、柔軟性と相手を尊重する姿勢を感じます。

 

これまでの活動を通して印象に残っていることを教えてください。

自立支援施設「若者の家」の卒業生たちは、日本の皆さまの温かいご支援のおかげで、社会の中で活躍する人材となっています。例えば卒業生の一人は現在、日系企業に勤めており、タイや他の外国を飛び回る営業マンとしてグローバルに活躍中です。
他には、現在シェムリアップでツアーガイドをやっている卒業生がいますが、彼は10代の前半でトラフィックト・チルドレン(人身売買の被害に遭った子ども)として、他のNGOからKnKの「若者の家」にきました。彼は幼い頃に両親が離婚し、その後は祖母に預けられましたが、生活は困窮していました。そこで彼の叔父が彼をタイに連れて行き、彼は建設現場で児童労働をさせられていました。その後、タイの警察に不法就労が見つかり、カンボジアへ連れ戻されたのです。「若者の家」に来てからは、KnKの支援で大学では観光を学び、現在は英語、ドイツ語、タイ語などを習得しました。大学卒業後はツアーガイドとして見事に自立しました。そんな彼から先週結婚の知らせが届き、私もとても喜んでいます。
裨益者にとっての幸せはもちろん私の幸せであると同時に、KnKの支援の成功を示します。ここに至るまでには彼に限らず、勉強を辞めたいなどの相談を受けたり、思うような結果が出せない子もいます。しかし私たちスタッフは、そんな彼らと時には涙しながら何度も話し合い、寄り添い続けます。それが子どもたちの自信となり、成功体験に繋がり、立派に自立していくのです。

160408_002  160408_001

 

日本の支援者にメッセージをお願いします。

感謝の気持ちでいっぱいです。なぜなら支援者の皆さまは15年もの長きにわたり、KnKを通じてカンボジアの子どもたちを支援してくださっているのです。この年月は決して短くはありません。15年間の活動資金は大変大きな額になりますし、それらのおかげで本当にたくさんの子どもたちが自らの運命を変えることができたのです。15年間、途切れることなく活動できたのは本当に幸せなことです。たくさんのNGOがある中でKnKを選び、信じ、支援し続けてくれた日本の皆さまに、この場をお借りして御礼申しあげます。
しかし、残念ながらカンボジアにはまだまだ支援を必要としている子どもたちがたくさんいます。これからもカンボジアの子どもたちへのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

子どもたちを支えるために、あなたのサポートを必要としています


50en
 imakihu
10,000円で、カンボジアの青少年ひとりが6ヵ月以上職業訓練を受けられます
KnKへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

※ KnKのカンボジアでの活動は、公益財団法人日本国際協力財団からの助成とヘンケルジャパン株式会社、そして日本の皆さまからのご寄付で成り立っています。

関連記事:カンボジア女性のエンパワメントに日本の「家計簿」習慣を!
関連記事:カンボジア事業15周年、夢をかなえた一人の青年の話
関連記事:絹織物や接客の技術を身に着け、チームリーダーに

【KnKカンボジアの活動概要】

 

寄付する
寄付する
資料請求

カテゴリー

月別アーカイブ