2013/07/09
2013年3月に、カンボジアで2回目の指導をしてくださった造形作家、中川るなさんの現地レポートを2回に分けてご紹介します。(前編はこちら)
期間:2013年3月22日~27日
講師:中川るな(造形作家)
*カンボジアにおけるIGAの活動、ならびに今回の専門家派遣は、公益財団法人日本国際協力財団のご支援により実施しています。
Natural Dye( 天然染料による糸染め) 藍染
カンボジアの藍染めは内戦の混乱などにより失われ、現在一部で復興されているところが出て来ているにとどまる状況と聞きます。センターの織りの先生(58 歳位)は「聞いたことはあり知っているが使ったことはない」と。
藍を使うこと。天然染料では青の色を出す素材を見つけることが難しく、それを解決するのが「藍」の青。
またこの「青」が使えることにより「黄」+「青」=緑、「赤」+「青」=「紫」と混色で色のバリエーションが広がってゆきます。しかし現実的に藍が使えるようになるには種まきをし、育て、藍の葉の収穫にまでもっていく、時間も手間もかかることであります。今回、その藍がない中であえて日本から“藍の元” を持参して藍染めを体験してもらったのは「藍を使ってみたい」と思ってもらいたかったからです。「使いたい!」と思えば( 蚕を育てることができたのですから)、きっと藍も種まきをして育て収穫にもっていける。いつか桑の木の隣に藍の葉も茂っていることを思い描いた藍染めの一日でした。
藍の染色手順
絵の具を使ってのデザイン。
染め実習中心の今回の講習の中でのデザインは、絵の具を使ってのデザイン。
*色を混ぜて作るということで「混色の感覚」を知ってもらう
*新しいことに挑戦し、体験することは世界を広げ、物を見る目を広げることにつながる
*そして、未知のこと、新しいことが出来たことは自信につながってゆく。。。
ということで、あえて絵の具に挑戦しました。
カンボジアの学校は「美術」「音楽」の授業はないそうで、絵の具は初めて、または2、3 回目という子ばかりなのです。まずは「赤」「黄」「青」の3 色のみの混色で作る12 色環に挑戦(前回は色カードで制作)。続いて絵の具でチェック、ストライプ柄を描くことに。絵の具の使用が2、3 回目とは思えないほどのレベルの子、色出しも布の色にぴったりの子もいて、まさに(嬉しい)予想外の展開となりました。
この、実物を見て描けることや、見た色を出せるという感覚が、実際の糸染めや織物のデザインの中につながっていき、うまく生かされていけるようにというのがこれからの課題です。「見たままの物は作れる」というところから、「新しいことを自分で考え、それが相手の要求にあっているのかどうかも考える」、それが次の段階です。言われた事だけをやる、というのと、新しく自分たちの頭と手で考え作り出していくと言うことには、大きな違いがあるのです。
終わりに
KnKカンボジアの「若者の家」は確かに援助でまわっているのであろうが、月給をもらっている彼女らの中には「仕事をしている」という感覚があると思う。それでなければあの暑い中で薪焚きはできない。純粋に作った物を売って回ってゆくにはまだまだ遠い道のりであるかもしれない。が、自分の作ったバッグやクロマーが一つ売れること、それが作る・生きるモチベーションになり、「どんなモノ作ればよいのだろう」と使い手に思いをはせ、また私たち(=買い手)も「カンボジアの子が作っているから買う」ではなく、本当に気に入って買って長く使って、そんな中でふと「これどんな所でどんな人が作っているのかな」と思ってみたりして。
「こんな風に作ってますよ~」のお互いの手つなぎのレポートになれば幸いです。