活動ニュース

職業訓練への眼差し

2010/03/15
報告:KnK カンボジア インターン 柴田 千恵子

バッタンバンについて約10日間。
カンボジアは一年で最も暑いこの時期は結婚式シーズンで、毎日のようにどこかでパーティーが行なわれていて KnKの「若者の家」にも近隣の賑やかな歌声が聞こえてきます。
今回は10日の間に見ることができた、子どもたちの訓練の様子や現状をお伝えしたいと思います。


朝早くから機織りの音がセンター内に響く

「若者の家」について一番驚かされたこと。
それは子どもたちの職業訓練に対する眼差しです。
センターにある絹織物、裁縫、籐家具の訓練所では朝7時から夕方まで子どもたちが真剣に作業に取り組んでいます。

絹織物では10人の女の子がコースを修了後、生産者グループに参加しています。そして、そこで製作した絹織物の販売の収益から一部を受け取り、彼ら自身や家族の生計を助けています。

籐家具でも同様に休日に作った家具を自分で売っており、彼らがKnKで得られたスキルで少しずつ自分で生きる道を見つけているのをみると、支援が彼らの将来に繋がるようでとても嬉しい気持ちになります。


籐家具ワークショップ

絹織物ワークショップ

KnKの「若者の家」ではこの3つの職業訓練の他に、コンピューター、英語、識字教育が行なわれています。
先週は第三期のコンピュータークラスの修了式が行なわれました。約46人の子どもたちが修了書を手にし、とても嬉しそうにしていました。この修了証書が就職するためによい証明書になるため、コンピュータークラスはKnKの「若者の家」の子どもたちだけでなく、近隣のコミュニティーの貧しい子どもたちにも大変人気です。
同じ週には第四期のコンピュータークラスの入学試験が行われました。彼らになぜコンピュータークラスを受けたいのですか?という質問をしたところ、46人中30人がよい仕事に就くためと答え、彼らが、貧しさから抜け出す手段として、KnKの職業訓練に参加していることが伺えました。


修了証書授与

入学試験

 


絹織物ワークショップに通う子どもの家を訪問すると、藁葺きの小さな家が田んぼのなかにぽつんとありました。

コミュニティーからKnKの施設で職業訓練を受けている、4人の子どもの家を訪問しましたが、父親をなくしていたり、病気であったり、また子どもが多すぎることで、とても貧しい生活を強いられ、子どもを学校に行かせるのが難しい状況のようでした。
どの家族も、KnKの訓練施設で子どもがスキルを身につけてよい仕事について家計を助けて欲しいと考えており、また、2人の親が、他の兄弟も今後通わせたいと言っていました。

また、KnKの子どもたちは、「若者の家」以外の訓練所にも通っています。車の修理、美容室、絵画の教室に通い、彼らの夢に向かって頑張る姿が見られました。


美容室

車の修理

 


KnKの支援を受けながら継続して絵画の勉強を続ける少年

KnKのもう一つのメインの活動に、刑務所での青少年教育があります。 活動を行う二ヶ所の刑務所のうち、バッタンバン刑務所では、 ユニセフや他のNGOも職業訓練や農業訓練を行なっていますが、KnKは、絵画と裁縫と識字教育を実施しています。 特に絵画は、彼らの心理社会的ケアとともに、 3段階レベルを卒業するころには、素晴らしい絵画を描けるようになっています。

ところでKnKの若者の家で受け入れている子どもたちには人身売買(トラフィッキング)の被害にあいタイで労働をさせられていた子どもたちと、バッタンバンや国境沿いの町などでストリートチルドレンとして生活していた子どもたちの主に二つのパターンがあります。 そして、KnKは主に15歳以上の青少年を対象にしているのでタイとカンボジアの国境沿いのトラフィックト・チルドレンの一時受け入れ施設か15歳以上の子どもたちを直接受け入れる場合と、プノンペンやバッタンバンにある他のNGOの保護施設から15歳以上になった子どもたちを引き受ける場合があります。
比較的小さい子どもたちを対象にした施設は、カンボジアで多く見られますが、彼らがその施設を出た後、どのように社会に復帰し、自分自身で生計を立てていくか、が問題です。
それは、子どもたちはそのまま家庭に帰っても、家が貧しかったり、田舎で仕事がなかったりして、また元の厳しい生活を強いられがちだからです。
そういった点から、KnKは15歳以上の青少年が自分で生活できるように、サポートしていく、バッタンバン唯一の施設だと、スタッフが誇らしげに語っていました。


バッタンバン市内のチルドレンセンター。職業訓練の一環として魚を育てている。

「若者の家」に住む子どもたち

KnKは彼らの将来に対しての支援も行っており、卒業後のサポートも継続しています。
カンボジアの将来を担っていく子どもたちに、より良い社会を築く支援をしていると感じました。

しかしうまくいくことばかりではありません。卒業後に職業訓練で習得した技術を活かすために
子どもの就職支援や開業支援、絹織物の販売支援などを行なっていますが、資金不足や、マーケティングの難しさから、十分な支援が困難な場合も度々あります。


英語クラスの様子

またトラフィッキングや児童買春などの辛い経験を持つ子どもたちの心のケアは本当に大変なようで、ソーシャルワーカーのスタッフは、ケンカばかりして学校に行きたがらない子どもたちを
目の当たりにして、初めのうちは「自分には無理だ」と思ったそうです。
しかし、彼らが将来に対して前向きになるまで、諦めず彼らと向き合っていくことで、今は当初より改善され、ほとんどの子どもたちが学校や職業訓練に前向きに取り組んでいます。

残り10日間の滞在で、簡単な日本語クラスや卒業生の職場訪問をする予定なので、次回はその様子をお伝えできればと思います。

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