活動ニュース

サマーアクティビティ — 終了のご報告

報告:シリア難民支援 現地事業総括 松永 晴子

皆さまからいただきましたご寄付で、サマーアクティビティを7月10日から8月20日までの6週間、実施いたしました。

234名(登録数)の生徒が、工作や演劇、楽器演奏や朗読の時間など、さまざまなアクティビティに参加しました。

また、ご支援にあたりいただきましたご寄付は、アクティビティ指導にあたった教員4名の給与、アクティビティ材料費、プログラム管理者の交通費として、使用させていただきました。
応援してくださった皆さまには改めてお礼申し上げます。

 

音楽では、普段の授業ではなかなか自分の順番が回ってこない鍵盤ハーモニカを、ゆっくり練習する時間があり、また、新しい歌の歌詞をしっかり覚えて歌えるようになりました。

工作では、作っておしまいになってしまうものよりも、作って遊べるものを中心に工作しました。上手にできる子もできない子も居ましたが、早く作れた子がまだできていない子の手伝いをしたり、うまく遊べない作品を作った友だちの作り直しを手伝ったりする様子をみることもできました。

演劇では、児童労働への問題提起を主題にした演劇を完成させています。学校に行くよりも働いてほしいから、学校に行きたい子どもに無理矢理、仕事をさせようとする家庭の話を劇にしていました。彼らにとって身近にある話です。

また、子どもたちの「叱られてしまう行動」を描写した劇など、子どもたちにとって日々の暮らしの振り返りになるような劇も練習しました。

また、アクティビティ中には、上記の活動に加えて、班活動や係活動も実施してきました。日本の学校ではなじみのあるこれらの活動もキャンプの先生や子どもたちにとっては新しい取り組みです。

班活動は、子どもたちが助け合う心を育むことを、また係活動は自分の役割や存在意義を、活動を通して認識することを目的としました。

6週間の取り組みを通じて、班活動では、班単位で日々の活動のルーティーンを自発的にしていくことができるようになりました。当初は初めての試みに、子どもたちも教員サイドも試行錯誤が続きましたが、アクティビティの最後の方では、子どもたちが自分から出欠を取ったり、名札を配ったり、班ごとに分けられた道具を管理できるようになりました。

一見それほど難しくないはずの活動ですが、毎日続けないと定着しないものでもあります。

子どもたちが自分から、道具の箱を教室に運んだり、班ごとでのまとまりのある行動を意識できるようになったのが、大きな成長でした。

係活動は、先生の手伝い、掃除、花壇の水やりや年下の子のお世話係などの係に分けて実施しました。本当は、班ごとでこれらの係を順番に回していきたかったのですが、なかなかうまく仕事をローテーションにすることはできませんでした。

しかし、水やりの上手な子は自発的に重い水バケツを持ってきてくれたり、掃除係の子たちが使っていない教室を手分けして掃除してくれたり、お世話係の子たちがオープンデーの日に、他の子どもたちを行儀よく座らせようとしてくれたり、と、それぞれが担った役割をよく理解し、やり遂げようとする姿勢を育むことができました。

工作や楽器演奏など、ただ楽しいだけで終わりがちなアクティビティの中に、これらの活動が入ることで、いつもとは違った側面で子どもたちの成長を促す機会が作れたことは、大きな収穫だったと、感じています。

ただ、「誰かとともに何かを行動に移す」という、これらの活動から、明確になってきた課題もありました。

継続して事業の中で取り組んできたことではありましたが、子どもたちにはまだまだ、周りの友だちとの関わり方、誰かと一緒に時間を過ごすときのルールなど、学校という小さな社会の中で必要とされるマナーを、経験的に学んでいく必要があります。

1人でもできること、もありますが、誰かとともにするからこそ、できること、感じられること、分かることも、たくさんあります。

クラスメートや友だちと、集団活動を通じ、たくさん感じて、一緒に考える時間を作ることが必要なのだということも、この夏のアクティビティから見えてきました。

 

ザアタリ難民キャンプは、9月から新年度・新学期が始まりました。

夏休みの成長を、通常の授業につなげることが一番大切なことだと、スタッフ間でも話しています。

スタッフにとっては、たくさんの反省材料も残った夏休みのアクティビティでしたが、試してみて初めて分かった難しさや、実践的に学んだコツを、今後の授業にどう活かしていくのかにも、目を向けていこうと考えています。

班活動をクラス毎で実践してみてはどうか、係活動を音楽の道具準備係や、授業前の掃除係などで継続してみてはどうか、などなど、先生たちからはいろいろなアイディアが出てきました。

アクティビティに顔を出さなかった子どもたちと久々に会うと、たった3ヶ月ほどの短い間に、すっかり大人びた顔になったり、ぐんと背が伸びたりしていて、子どもたちの成長はめまぐるしいのだ、ということを、視覚だけでも、感じることができます。

これから始まる新年度も、音楽、演劇、キャリア教育などの活動から、子どもたちの心の成長の手助けをしていきたいと思っています。

 

 

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