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子どもたちの良き理解者、シリア人女性教師たち

KnKの授業では、ヨルダン人の教員とシリア人の教員補佐がそれぞれ1人ずつ各教科について、子どもたちを教えています。
シリア人の教員は、全員が生徒たちと同じようにザアタリ難民キャンプで暮らしており、教員としてだけではなく、時にお姉さんやお父さんのように、生徒たちからの悩み事を聞き、宿題を見て、一緒におしゃべりをする、生徒たちにとって大切な存在です。
今回は、そんなシリア人教員の女性4人をご紹介します。

バハレーン校で作文を担当するイブティサム先生

イブティサム先生は、シリアにいた頃は国語(アラビア語)の教員として教鞭を執っていたベテランの先生です。いつも明るくおもしろく、生徒たちにとっても、他の教員たちにとっても、頼りになるお母さんのような存在です。イブティサム先生が時々持ってきてくれる手作りマクドゥース(ナスの中にナッツやにんにく、唐辛子を詰めて、オリーブオイルで漬けたシリアのお漬物)は絶品です。

生徒が作った物語の作品を手にしたイブティサム先生

イブティサム先生の話を真剣に聞く子どもたち

バハレーン校で演劇を担当するサファ先生

いつも元気よく笑顔いっぱいのサファ先生。彼女はたくさんのアイデアを思いつくので、いつも演劇の授業を楽しくしてくれます。シリア南部・ダラア出身のシリア人が多いザアタリキャンプの中で、ダマスカス出身のサファ先生。シリアにいた頃は銀行員として、キャンプに来てからは他のNGOで演劇の先生として働いていました。

演劇で使う小道具作り。図工がしたいとの生徒の希望を、サファ先生のアイデアで演劇と結びつけました。

学期始め、演劇担当の教員たちで学期プランを考える(中央:サファ先生)

カタール校で音楽を担当するアラー先生

可愛らしい笑顔のアラー先生は、シリアにいた時も音楽の教員をしていました。授業で歌を歌う時には、生徒たちを率先して、いつも大きな声で歌っています。昨年、お子さんを妊娠してからも、出産ぎりぎりまで大きなおなかで授業を担当してくれて、出産後もすぐに復帰してくれました。アコーディオンを弾くのが得意で、子どもたちにも優しく教えてくれます。

産休前のアラー先生。大きなおなかでキーボードを教える

大きな声で歌うアラー先生

カタール校で演劇を担当するジャクリーン先生

ジャクリーン先生は、シリアにいた頃は美術の先生をしていました。物静かでおとなしい性格で、いつも生徒たちのことをよく見ています。授業中は、机の間を歩きながらひとりひとり生徒の様子をよく見て、つまらなそうにしている子にはそっと声をかけ、台詞の読み方がわからない子にはこっそり読み方を教えてくれる、いつも優しい先生です。

ジャクリーン先生。学校が舞台の演劇を指導

低学年向けの授業では、人形劇をやることも

4人はそれぞれ3人、4人の子どもたちがいて、外では教員ですが、家ではお母さんです。
そんな4人に、仕事や家事のこと、キャンプでの子育てについて聞いてみました。

― 1日の生活はどんな感じでしょうか?

毎朝7時頃起きて、お茶やパンの簡単な朝食を取り、学校に行く子どもを送ってから仕事に行きます。キャンプ内の学校は、午前と午後で男女のシフトが分かれていて、女子シフトは11時半に終わります。授業の後、その日の授業のレポートを書き、次の日の授業の準備をして、12時過ぎに職場を出ます。家に帰ると、すぐに家族の昼食を準備します。買い物は、仕事に行く途中や帰り道に済ますことが多いです。
昼食が終わると、掃除をしたり洗濯ものを畳んだり、夕食の準備をしたりと忙しく過ごしています。子どもの宿題を見たり、勉強を教えることもあります。

― いつも忙しいと思いますが、どんな風にリフレッシュしていますか?

家事が早く終わって夕食までに時間がある時には、キャンプ内に住む友人や家族のもとを訪ねて、おしゃべりをするのがリラックスできる時間です。仕事と家事と忙しくする中で、友人たちとコーヒーを飲みながらおしゃべりをしたり、母に相談事をしたり、メッセージアプリで遠くに住む友人とチャットをすることが、良い息抜きになっています。家族や仕事のことを、KnKの職場で同僚たちに聞いてもらうことも大切な時間です。キャンプの中には綺麗な公園や景色が良い場所はあまりありませんが、それでも家から外に出て、散歩をすることで気分が紛れる時もあります。夜電気が来てからは、家族とテレビを見るのもリラックスできる時間です。

― 職場で働いている時間、ご家族はどんな風に協力してくれていますか?

キャンプ内では夫と子どもたち、自分や夫の両親、兄弟たちと暮らしています。常に家には誰かがいる状態なので、仕事中に子どもの面倒を見てくれる人には困りません。ただ、シリアにいた時には、もっとご近所付き合いが活発で、子どもが近所の家を自由に行き来したり、外に出かける時には子どもを預けたり、隣のお家の人と一緒に家事ができたりしたのですが、キャンプの中では、シリアにいた時ほどのご近所付き合いができなくて少し寂しいです。

― 外で働くことについて、ご主人の反応は?

【補足】キャンプ内の規定で、国連やNGOで働くのは、登録証に記載がある家族の中から1人だけ、という決まりがあります。妻が働くと、夫は他の団体で働くことができません。アラブの男性は、妻に対して「外で働かず、家事だけをしてくれ」と言う方も多いそうです。

今まで、女性が外に出て働くことをよく思っていなかったり、反対をされたこともありました。その事をKnKの職員に相談して、一緒に夫と話をしたこともあります。でも今は、私が外で働くことにとても協力的で、私が仕事中には、子どもの面倒をよく見てくれています。カーペットやマットを洗うときなど、重労働の家事は率先してやってくれますし、女性が外に出て働くことは難しいことではないと思っています。職場での保護者向けの参観日には、夫が子どもたちを連れて学校に来てくれて、私が仕事をしている様子を見てくれたこともありました。

*ただ、この話をしていた時、1人の先生は、「いや、家事は私が全部やります。夫には絶対やらせません!」と笑っていました。

― シリアでの生活と今とで、大きな違いや困っていることはありますか?

キャンプに来た3、4年前の生活と違って、今はさまざまなことが便利になりました。各家庭に水のタンクができたので、水汲みをしなくてよくなったし、夜、電気が来てからは洗濯機を使うこともできます。ただ、やはり水の量を気にしなくてはいけないので、掃除や洗濯、炊事と水を多く使う身としては、水が不足してしまって困ることもあります。
シリアを離れてから1番感じていることは、大人としての、母としての責任を大きく感じるようになった、ということです。キャンプの中には子どもたちが安全に遊べる場所が少ないので、常に子どもたちの様子を注意深く見なくてはいけませんし、子どもたちの将来のことを考えると心配になることもあります。私が働きに出ているので、お金を稼いで家族を養う責任も今はあります。

いつも明るく、優しく生徒たちと向き合い、家では母として家事をこなし、子育てをしている4人の先生たち。職場で同僚たちと話をすることも大切だと話していたように、いつも仲がよく、このインタビューを行った時にも、終始笑いあって話をしました。
話を聞く中で、キャンプに来てから、大人としての母としての責任の重さをより感じるようになった、という言葉が印象的です。家族を養うためにも、これからもKnKの教員として、今のチームで働けることを願っていると力強い言葉もいただきました。

【緊急募金】この夏も、難民キャンプで課外授業を実施するには、あと150万円が必要です。

夏休みを楽しみにしている子どもたちに、今年の夏も課外授業を提供できるよう、皆さまのご理解とご支援をお願いいたします。ご支援はキャンプで暮らすシリア人教師たちの雇用にもつながります。

150万円集まればできること

ヨルダン北部にあるザアタリ難民キャンプで中学校2校の夏休みの課外活動として、シリア難民の子どもたち(7~16歳)約280人に対し、情操教育をメインとした課外授業を提供します。

【支援により得られる効果】
1. 難民キャンプ内で、学校でクラスメイトと過ごせる時間は子どもたちにとって貴重な「楽しい時間」です。シリアから逃れてきた子どもたちへ、楽しく安心できる居場所を提供し、心身の健全な成長を促進します。
2. 夏休みも継続して学校での活動に参加することで9月からの新学期の通学に対するモチベーションを高めます。

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【ヨルダン(シリア難民支援)活動概要】

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