活動ニュース

女性の地位向上でカンボジアの子どもたちの未来を守る

 

2015/04/09
報告:KnKカンボジア派遣員 永井 昌彦

若年女性の社会的地位向上を目指して

KnKカンボジアはその活動の一環として「若者の家」、法に抵触した若者の支援と並んで収入創出活動(IGA)をこれまで行ってきました。このIGAでは、職業訓練と伝統産業を組み合わせ、でき上がる製品を販売して青少年の収入向上や独立を支援してきました。2007年の開始以降これまでに多くの若者がスキルを学び、ビジネスを経験することにより力をつけて独立や就職を成し遂げています。

このたび、KnKカンボジアは、時代と社会情勢の変化にともないIGAの活動をアップデートし、若い女性のエンパワーメント(社会的な地位向上など)の目的をより明確にし、再出発することになりました。これまでIGAとして行ってきた3つのグループのうち籐家具を製作するグループは、裨益者の少年たちの就職等が決まり、先月末で終了しました。

縫製と織物製作のグループは基本的なスキームはこれまで通りで活動を継続します。今後は、「若者の家」における青少年の自立支援に加えて、若い女性たちの立場を改善し、将来母親となる彼女たちが社会的・経済的に力をつけていくことで包括的に青少年をサポートしていきます。

KnKカンボジア

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カンボジア社会と女性

カンボジア社会における女性の位置づけは、家族の地位、結婚後には夫の地位が影響するといわれます。伝統的には仏教観に根ざした階層社会のなかで女性として適切な行動をとることも求められてきました。ポル・ポト政権の時代から長年続いた紛争により既存の社会システムは壊滅し、市場経済化などにより女性の役割は大きく変わってきていますが、このような伝統は少なからず残っています。貧困層や社会の底辺層の中の多くが女性であることから、カンボジア社会において女性は未だに困難な状況にあります。

差し迫って重要な問題は、カンボジアでは女性に対する暴力が絶えないことです。ここでいう暴力とは、家庭内暴力・レイプ・性的搾取を目的としたトラフィッキングなどを含みます。大きな国内問題の一つであり、現地の新聞にも毎日といっていいほど女性に対する暴力に関する事件が報道されています。

その背景と原因は何かというと、一つにカンボジア社会の男性支配があります。地元には「男性は黄金であり、女性は布である」という言い習わしがあり、これはもし黄金が泥の中に落ちた場合は磨けばすぐにきれいになるが、布が落ちたら染みができて汚れたままであるという意味です。男女の性の違いによる社会的な基準の差があらわれています。また、法的な強制力がほとんど無いことと、カンボジアに蔓延する汚職もあります。1996年に人身売買取締法(通称)が制定されたのですが、トラフィッキングの定義を売春に従事させることだけに重点を置き、多様化するトラフィッキングの状況を取り入れていないことに加え、人身売買と誘拐を禁じてはいるものの具体的な罰則規定がありません。それを取り締まる公権力や社会の目も効果的でなく、あまり機能していません。

女性への暴力が絶えないのは、貧困だけが原因ではなく、広範な問題があるためなのです。このような状況において、暴力の矛先が子どもに向けられることも多く、子どもたちの健全な育成にも影響は及んでいます。

 

女性たち、そして子どもたちのより良い将来のために

KnKカンボジアは今後、活動を通じて、特に若年層の女性を職業訓練や就業支援を通じて、エンパワーする活動を行ってまいります。スキルアップを通じて経済的な自立を図り、彼女たちが社会的に平等で正当な権利を得るためには自身の内発的な意欲を促し、自らの努力でもって向上していくことが求められます。そうすれば、女性や子どもたちの未来は決して暗くないと信じています。今後とも、皆さまからの心暖かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

KnKカンボジア

 

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5,000円で、5人の青少年が1ヵ月間、学校に通えます。
国境なき子どもたちへのご寄付は寄付金控除の対象となり、税制上の優遇措置を受けられます。

 

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【KnKカンボジアの活動概要】

 

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