スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

ロバのマリオネットの、仲間入り

こんにちは。シリア難民支援 現地事業総括の松永です。

日本から、また一体寄贈いただいたロバのマリオネット。
ロバがモデルのマリオネット、お正月にザアタリ難民キャンプにいらしたオレンジパフェさんも、いたるところで、ロバを目にされたからでしょう。

私自身もロバが大好きなので、嬉しいのと同時に、一抹の不安がありました。
アラブ界でも、ロバは頭の弱い動物の代名詞です。悪口で「ヒマール(ロバ)!!」と言っているのを時々、子どもやら大人やらの喧嘩で、耳にします。
キャンプ内でのロバの姿は、健気です。懸命にスイカやメロン、モロヘイヤやプレハブまで、あらゆるものを引きずりながら運ぶロバは、あんなに働き者ですが、石を投げたり、鞭を無駄に打ち付ける子どもも、少なくありません。
ロバのマリオネットを大事にしてくれるだろうか、不安を抱えてキャンプへ出勤しました。

今までとは違う柄の袋に、子どもたちは反応していました。「ハビーブじゃないの?」という声が聞こえてきます。
袋から出てきたのがロバだったので、女の子たちは、目を丸くしてびっくりしていました。指をさして笑わないだけいいかな、と思ったりしていました。
名無しでやってきたロバのマリオネット、やってきてすぐ、名前をつけよう!という話になりました。
美しいロバ、女の子の名前など、いくつかの案が出ましたが、多数決で一番人気だったのは「カルクール」でした。日本語にするのは難しいですが、「子ロバちゃん」、といった感じです。子ロバのことは「コッル」と言います。それを可愛らしく活用させた名前です。

夏休みのアクティビティが始まって1週間後には、すでに「カルクール!カルクール!」と登場を心待ちにする子たちの声が、教室に響いていました。

ハビーブが可愛らしいけどちょっと困ったいたずらっ子なら、カルクールはしっかり者のおじさん、という感じです。
子どもたちが授業でやらかした、あれやこれやに苦言を呈しています。

実は、やはりアラビア語の基礎的な学力が身についていないという問題が、大きく頭をもたげているキャンプでは、授業の一番初めに、必ずお話を読み聞かせて、きちんとしたアラビア語の使い方を音から覚える時間を作っています。
でも、年齢層様々な夏季アクティビティ。子どもたちの中には、よく分からなかったり、外の様子が気になってしまう子たちもいます。そんな子どもたちも、カルクールがお話のおさらいをする時間になると、一気に集中して、一生懸命カルクールと話をしようとしています。その様子はなかなか、可愛らしいです。

ハビーブとカルクール、二人の共演のためには、アブダッラ先生だけではなく、もう一人上手にマリオネットを操れる人が欲しいところです。
子どもたちの中から、カルクールの相棒ができる生徒が出てくることを、心待ちにしています。

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