スタッフ日記 認定NPO法人国境なき子どもたちブログ

バスのお話

 

アッサラームアレイクム!(こんにちは!)

ヨルダンでは6月5日夜の新月観測の結果、今年(2016年/ヒジュラ暦1437年)は6月5日の日没をもって、ラマダーン月が始まることとなりました。
今はちょうど半分が経過したくらいです。
現地スタッフはもちろんのこと、日中に断食に挑戦している日本人スタッフもいます。

さて今回は、ラマダーンではなく、「バス」に関するお話です。

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みなさんは普段、バスを利用されますか?
電車を使うことはあっても、バスはなかなか使わない・・・という方もいらっしゃるでしょうか。

ここヨルダンでは、日常の移動手段として、また旅行の際にバスをよく利用します。
というのも、日本のような鉄道は無く(厳密には観光用として一部区間ありますが)、
バスが主要な公共交通機関なのです。

観光地として有名なペトラ・アカバ・ジェラシュにも、アンマンからバスが出ています。
ちなみに、長距離バスは時刻表通りに出発するバスもあれば、
満席になるまで出発しないバスもあります。出発まで1時間以上待たされることも・・・。

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一方、アンマン市内も多くの路線バスが走っています。
が、路線網が複雑で、いつ目当てのバスが来るかわからないため、使いこなすにはかなりのワザが必要です。
乗るときは、バス停がある所もありますが、道端で手を挙げればだいたい停まってくれます。
この点は意外と便利ですね。

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そして、このオレンジ色のバス。
そう、これは路線バスではなく、通学バスです!

日本での通学バスのイメージは、主に小さな子どもたちの送迎に使われているものだと思います。
しかしヨルダンでは、日本でいう中学生くらいまでの年代の生徒にとって、
大切な通学手段のひとつなのです。
大きな学校では、登下校時に数十台のバスが学校の周辺に停まっていることもあります。

なぜ小さな子どもたち以外にもバスが使われているのか?
その背景を少し説明します。

ヨルダンの首都アンマンは、多くの丘があり、地図上ではすぐ近くにある場所でも
実際は丘をいったん降りてまた登らないといけないなど、通学環境が必ずしも良いとは言えず、
徒歩だと30分以上通学時間がかかってしまう生徒もいます。
また、こちらの地域の慣習上、女子生徒が1人で通学することは避けた方が良いと考えられています。
残念なことに、通学中に嫌な思いをし、学校に行くのをためらう生徒もいます。

こうした事情があり、登下校に合わせて学校まで車を使って送り迎えをする家庭もある一方、
仕事や経済的事情により、送迎が難しい家庭もあります。

そこで、KnKが実施している補習授業では、学校までの距離が遠い生徒も、通学に不安を覚える生徒も
安心して補習授業に参加できるよう、通学バスを提供しています。
家庭訪問でインタビューした際には、「通学バスを出してくれているから補習授業に安心して参加できる」
との声をいただいたこともあります。

国や地域が変われば、通学手段も変わる。
補習授業と聞くと、ついつい授業の中身だけに目がいきがちですが、
生徒が安心して通学できる環境をつくりあげ、充実した授業時間を過ごしてもらうためにも、
ここヨルダンでは、「バス」が大きな役割を果たしているのです。

今はラマダーン中で補習授業もお休みですが、
夏休みから始まるサマーアクティビティで、再びバスの活躍が見られそうです!

(インターン生)

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